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低評価を減らす!楽天発送スピードの改善方法と「誤出荷・遅延」を防ぐ物流管理のコツ

楽天ショップの運営において、低評価レビューや注文キャンセルの多くは、「出荷の遅れ」と「誤出荷」という配送トラブルが原因です。
「注文は入るのに、発送作業が追いつかない」「スタッフが一日中倉庫を走り回っているのに終わらない」……そんな状況が続くと、現場は疲弊し、ミスが増え、お客様の信頼も失うという悪循環に陥ります。

この記事では、当日出荷の遵守・正確な在庫引当・バーコード照合といった物流の基本を揃えるための具体的な手順を、解説します。
今日からすぐに取り組める改善手順と仕組み化によって、確実に発送スピードを上げ、現場にはびこるムダな待ち時間と手戻り作業を目に見えて減らしていきましょう。

業務フローを可視化して「詰まり」を見つける

効果的な対策は、現状の業務フローをありのままに「見える化」することから始まります。
「なんとなく遅い」という感覚ではなく、「どの工程で、何分ロスしているか」を具体的に特定しましょう。

業務フローを見える化

受注メールが届いてから、商品が出荷され、お客様の元へ発送通知が届くまでの動きを時系列に並べ、どこで作業が止まり、誰が何を待っているのかを書き出してみましょう。

フローの中で、以下の3つの要素を探してみてください。

  • ムダな待ち時間:データが出力されるのを待っている時間、前工程が終わるのを待っている時間。
  • 情報の二重入力や重複作業:同じ情報を別のファイルに転記している、同じチェックを2人が別々に行っている。
  • 特定の担当者への依存(属人化):「この処理はAさんしか分からない」という状態。Aさんが休むと作業が止まる。

よくある課題リスト

まずは、現場で感じている「困っていること」を遠慮なく書き出しましょう。経営者や店長の視点だけでなく、実際に梱包を行っているパートスタッフの声も重要です。

  • 受注確認のタイミングが特定の担当者に偏っている
  • 銀行振込やコンビニ決済の入金確認漏れが発生しやすい
  • 日時指定やラッピング対応、同梱処理で作業がストップする
  • RMS上の在庫数と、倉庫の実在庫にズレが頻発している
  • 商品を探すために倉庫内を歩き回る時間が長い
  • 送り状発行ソフトへのCSV取り込みでエラーがよく出る

現場のリアルな声は、システム改善のヒントの宝庫です。一見すると些細に思える「小さな違和感」や「ちょっとした使いにくさ」も、漏らさず並べておきましょう。

ボトルネックの特定

書き出した問題点を踏まえ、各工程の状況を整理します。「待ちの列」が長くできている工程こそが、改善効果が最も高い最優先候補(ボトルネック)です。

工程作業内容よくある課題と停滞理由
受注確認注文取込・サンクスメール送信・支払い確認・備考欄チェック目視チェックに時間がかかる。確認作業が一日に何度も五月雨式に発生し集中できない。
在庫確認在庫有無チェック・在庫引当処理・欠品対応システム在庫と実在庫のズレによる売り越し。欠品の発見が遅れてお客様への連絡が後手になる。
ピッキングピッキングリスト作成・棚からの商品取り出し・セット組み倉庫内の動線が悪く移動距離が長い。商品の保管場所が不明確で探索時間が長い。
検品・梱包品番と数量の確認・箱詰め・送り状貼り付け・緩衝材詰め同梱物の入れ忘れ。梱包サイズの判断に迷う。送り状と商品の突き合わせミス。
発送手配送り状データ作成・配送会社への引き渡し・伝票番号のシステム反映送り状ソフトへの連携が遅い。番号反映の遅延でお客様への発送通知メールが夜遅くになる。

主要KPI(指標)で現状を数値化

数字は「どこから直すべきか」という優先順位の判断と、「対策によって改善できたか」を客観的に示す重要な道しるべです。

  • 注文から出荷までの平均リードタイム(目安:日次):受注確定から運送会社への引き渡しまでに要した平均時間。
  • 当日出荷・翌営業日出荷の達成割合(週次):設定した締め時間までに入った注文のうち、約束通りに出荷できた割合。
  • 誤出荷率(例:月次、100件または1000件あたり):商品違い、数量違い、送り状の貼り間違いなどの発生頻度。
  • ピッキング1件あたりの平均時間(月次):1つの注文を揃えるのにかかる平均作業時間。

「最初の2週間は計測だけに専念し、3週目から対策を実行する」という流れにすると、ビフォーアフターの改善効果が数字で明確に見えるようになり、スタッフのモチベーションアップにも繋がります。

なぜ遅延が起きるのか?

フローの見える化と数値データが揃ったら、原因をより深く掘り下げます。問題が起きているのは、「受注処理」「在庫管理」「システム連携」のどこなのかを特定します。

受注処理のボトルネック

注文の取り込み時間の偏りや、決済方法ごとの確認フローで手が止まっていないか点検します。

特に、備考欄への個別要望(ラッピング、熨斗、領収書など)や日時指定の有無を目視でチェックしている場合、そこが大きなボトルネックになります。「いつ(時間帯)・どの注文タイプ(決済方法やオプション)で詰まるか」を具体化できると、処理を担当するスタッフのシフト再配置や、備考欄の確認ルール整備に直結します。

在庫管理と倉庫作業のズレ

在庫数のズレは、受注後の欠品連絡という最悪の遅延対応を招くだけでなく、ピッキング時の「ない!探さなきゃ!」という時間の浪費を引き起こします。

売れ筋商品の置き場所は適切か、バラ在庫とケース在庫の区別は明確か、返品や良品への数直しの反映タイミングは決まっているかなどを点検します。棚のロケーション表示・作業動線・在庫補充ルールの3点が整うだけで、商品を探し回る探索時間は大幅に短縮されます。

システム連携と人的要因

楽天以外に複数のモールを展開していたり、受注管理システムと倉庫管理システムが分断されていたりする場合、情報のタイムラグやCSVの二重入力ミスが起きやすくなります。

フロー図の中で人が手入力している箇所・データ反映の待ちが発生する箇所を赤ペンで囲み、そこを優先してAPI連携による自動化や、マクロ等を使った省力化の対象にします。

今すぐ現場でできる改善策

今日は作業時の「迷い」を減らし、明日は商品や資材を「探す」時間を減らす。——この順番で着手するのが、コストをかけずに最も早く効く改善策です。

受注優先ルールと在庫引当の明文化

担当者による判断のゆれをなくすため、出荷指示を出す優先順位の基本ルールを1枚の紙にまとめてモニター横に掲示します。

【ルール例】

  • 13時までに支払い確認済み・在庫あり・日時指定が直近のものを最優先する。
  • 同梱がある場合と分割発送が必要な場合の基準を明確にする。
  • 欠品発覚時の顧客への連絡テンプレートと代替案の提示ルールを用意する。

判断基準の見える化を行うことで、スタッフ全員の処理スピードと判断が揃い、全体の業務速度が底上げされます。

倉庫の5Sとレイアウト改善

物流現場における5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を徹底しましょう。まずは通路にある不要物の撤去から始め、棚番号(ロケーション番号)を大きく見やすいフォントで表示します。

出荷頻度の高い「Aランク商品(売れ筋)」を梱包作業台の近くや取り出しやすい高さ(ゴールデンゾーン)へ移動させ、在庫補充ラインの目印(発注点)をテープで明示することも重要です。ピッキング担当者の歩数と商品を探索する時間が減るほど、疲労によるミスも確実に減ります。

ピッキング方式の見直し

取扱商品数や注文内容に応じて、ピッキング方式を見直します。

  • 単品注文が中心なら:納品書ごとに商品を棚まで取りに行く「1注文取り切り(摘み取り方式)」
  • 多品種少量で同梱が多いなら:商品をまとめて持ってきた後に仕分ける「トータルピッキング(種まき方式)」

また、梱包作業においては、写真付きの標準マニュアルを作成し、商品サイズごとの適切な箱サイズと緩衝材の量を指定します。同梱物チェックリストを活用して入れ忘れを防ぐなど、作業の質を均一化しましょう。

まとめ

楽天ショップにおける発送遅延の解消は、一足飛びには実現しません。「見える化→数値化→小さな現場対策→システムの仕組み化」の順で着実に進めるのが最短ルートです。小さな改善の一歩一歩の積み重ねが、ショップの信頼性を高め、顧客評価とリピート率を確実に引き上げます。

何から手をつけるべきか迷ったら、まずは「お客様を待たせている時間(待ち時間)」を減らす対策から始め、数値でその成果を確認しながら前進していきましょう。

<注意>本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。楽天の仕様・ガイドライン・API連携等は予告なく変更される場合があります。最新情報は必ず楽天公式サイトや導入を検討するWMSの提供元にご確認ください。

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