楽天で出店していて「商品はカートに入るのに購入まで進まない」「スマホだと途中で離脱される」といった悩みを抱えていませんか? カゴ落ちは商品ページの見せ方や価格表示、送料や決済のわかりにくさ、購入前の不安といった複数の要素が絡んで起きます。
この記事では、データを使った原因の見つけ方から優先的に直すポイント、実際に試せる改善策まで、初心者でも取り組みやすいステップでやさしく解説します。ポイントを押さえて、カゴ落ちを減らし購入につなげましょう。
初期チェックで状況を把握する

必須KPIと簡単な見方
最初に現状のズレを数字で整え、どこに課題があるかを紐解きます。注目するのは、RMS(R-Karte)で見られる転換率(CVR)、アクセス人数、そしてカゴ落ち率(アクセス人数に対する転換率の乖離)です。
カゴ落ち率は定義を統一してください。 楽天では「カゴ画面」以降の正確な離脱率は計測できないため、一般的に「アクセス数があるのに転換率が極端に低い商品」や「スマホでの滞在時間は長いのに売れない商品」をカゴ落ち予備軍としてマークします。
楽天の指標をRMSで確認するポイント
RMSは公式の注文・売上データ源です。アクセス・転換率・客単価の推移、流入元別の転換率を確認します。また、カゴ落ちの最大の要因となる送料設定(特定地域への加算など)や配送日時指定の可否の設定が意図通りか、最新の送料設定画面と照らして確認しましょう。「あとから送料が高くなる」設定は離脱に直結します。
流入別・商品別・デバイス別の差分確認でまず絞る
全体平均だけでは壁が見えません。 楽天内検索と外部広告の差、カテゴリや価格帯の違い、スマホ・PC・アプリの差を横並びで見て、差が大きいところから着手します。特にスマホの転換率がPCより著しく低い場合は、ページの見にくさが原因の可能性が高いです。
原因分析の進め方と優先順位付け

影響度と実行負荷で判断する分析フレーム
対応の優先度は、影響度×実行負荷の2軸でシンプルに判断します。売上への影響が大きく、工数が小さい施策(商品ページの記載修正など)は最優先。影響が大きくても実装が重いもの(商品画像の全撮り直しなど)は次点にします。楽天のカートシステム自体はカスタマイズできないため、「商品ページ側で不安を消す」ことに集中するのが最も効率的です。
深掘りすべき主要項目
離脱の主因は多くの店舗で共通です。最終金額の不安(送料や手数料が不明確)、情報不足(いつ届くかわからない)、決済の不満(希望の手段が選べない)、信頼感(レビューが少ない・悪い)を、カテゴリや価格帯ごとに点検します。
必要データと取得方法:RMSの活用
楽天市場では、自社サイトのようにGA4で決済フローごとの離脱率を詳細に追うことはできません。その代わり、RMSの「商品分析」を活用します。「アクセスは多いのに売れていない商品」をリストアップし、実際のスマホ画面でカゴに入れるボタンまでの距離や送料表記のわかりやすさを目視でチェックするのが最も確実な分析方法です。
今すぐできる優先改善策

価格と送料の表示をわかりやすくする
カゴに入れた後に「思ったより高い」となるのを防ぎます。 商品ページ(特にカートボタン付近)に、送料条件(◯◯円以上で無料など)やポイント倍率を見やすく記載します。地域別送料がかかる場合は、商品説明文の冒頭や画像で早めに伝えることで、納得してカゴに入れてもらえます。
決済設定と入力補助の活用
店舗側で決済画面のフォーム自体を変えることはできませんが、決済手段を充実させることは可能です。クレジットカード、楽天ペイ(後払い決済、コンビニ決済など)が正しく有効になっているか確認しましょう。また、ラッピングやのし設定が複雑すぎると入力で離脱されるため、選択肢をシンプルにすることも有効です。
商品ページと信頼性の強化と簡単なABテスト案
購入前の不安を最小化します。到着予定日の目安を明確にし、返品・交換条件をわかりやすく記載します。スマホでは、カゴに入れるボタンがスクロールせずに押しやすい位置にあるか、バリエーション選択が迷わずできるかを確認し、画像を改善します。
小規模テストの例: 商品名の先頭に「送料無料」を入れる、1枚目の画像に「明日届く」と入れるなど、1箇所だけ変えて1週間の転換率を比較します。
中長期施策と検証設計

クーポンとポイントによる後押し
カゴに入れたまま迷っているユーザーを後押しするには、クーポンの発行やポイント変倍が効果的です。「お買い物マラソン」などのイベント時に合わせて期限付きのメリットを提示することで、カゴ落ちしていた商品を決済へと誘導できます。
TDA(ターゲティングディスプレイ広告)の活用
店舗が個別にカゴ落ちメールを送ることはできませんが、楽天の広告メニューであるTDA(ターゲティングディスプレイ広告)には、商品を閲覧またはカゴに入れたユーザーに対して広告を表示する機能(リターゲティング)があります。購入意欲が高い層に絞ってクーポンを表示させることで、効率的に呼び戻すことができます。
テスト設計とKPI管理の実務ルール
テストは目的を一つに絞り、変更点は最小、十分なデータが集まるまで待つのが基本です。モールでは他店のセール状況にも左右されるため、期間を分けた比較(例:イベントがない期間同士で比較)を行い、RMSのデータで冷静に判断します。
まとめ
カゴ落ちは単一要因ではなく、複数の落とし穴が重なって起きます。 まずはRMSで「アクセスはあるのに売れない商品」を特定し、スマホ実機で表示を確認します。影響度×実行負荷で優先順位を決め、送料・納期表示の明確化、決済設定の見直し、商品ページの信頼性強化といった着手しやすい改善から回しましょう。
楽天の仕様上、決済画面自体のカスタマイズはできませんが、商品ページで不安を解消することと、クーポンや広告(TDA)で背中を押すことで、カゴ落ちを減らす余地は十分にあります。まずは一つ、いま実行できる小さな改善から始めて、数字の変化で前進を確認してください。
<ご注意>本記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。楽天の仕様・ガイドライン・ルール等は予告なく変更される場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトやRMSヘルプ等をご確認ください。
