楽天での販売は順調でも、「再配達が増えてコストがかさんでいる」「お客様からのクレームが増えて心配」と感じていませんか。
再配達の原因は、注文時の情報、発送・梱包、配送業者との連携、配達タイミングやお客様への案内など、いくつもの要素が絡み合って起きます。
この記事では、楽天出店者の方向けに、まず原因の見つけ方から、すぐに試せる施策、効果をはかるKPI設定、そして実際の検証手順まで順を追って解説します。
ムダな再配達を減らしてコストとお客様満足度を同時に改善するヒントを一緒に見つけましょう。
準備編:現状把握と原因の特定

まず「どこで・どのくらい・何が理由で」再配達が発生しているのかを数字と現場の両面で整えます。 同じ定義で計測を続け、次の比較に使える基準をつくることが出発点です。
準備するデータは、受注情報(住所・連絡先・希望時間)、出荷情報(伝票番号・配送会社・サイズ)、配送実績(配達完了・不在・再配達等)で十分です。
追うべき数字:初回配達成功率と再配達率
初回配達成功率は「初回の配達で完了した割合」(初回完了数÷発送総数×100)。店舗のコストと満足度に直結する最重要の指標です。続いて再配達率(再配達数÷発送総数×100)で全体の負荷感をつかみ、住所不備率(住所不備数÷発送総数×100)で入力面の課題を可視化します。
持ち帰りが多いなら持ち戻り率や受取方法の内訳も確認しましょう。
現場データの分析:不在・住所不備・受取不一致
数値だけで判断せず、現場の声を合わせて紐解くと改善の伸びしろが見えます。 原因を大きく分けて優先順を決めましょう。代表的なカテゴリは以下の通りです。
- 不在による受け取り不可(時間帯のミスマッチ・インターホン未応答)
- 住所不備・建物情報不足(郵便番号誤り・番地抜け・建物名欠け)
- 受取方法の不一致(置き配不可商品の置き配指定、対面必須条件の見落とし)
住所不備は目視でパターン(番地抜け、建物名欠け)を拾い、不在が多いエリアは在宅しやすい時間帯を担当者にヒアリングして特定します。
優先順位の決定とKPIの設定
初回配達成功率を最優先に、再配達率と住所不備率をセットで追いましょう。目標は「時間帯案内を改善し、初回配達成功率を○ポイント引き上げる」「住所補正の仕組みで住所不備率を△%削減」など、具体的な施策に紐づく表現にすると実務的です。
対策編:すぐに効果が出る「注文・発送」の改善

注文時の情報精度と受取方法の明確化は今日から整えられる伸びしろです。コストをかけずにできることから始めましょう。
住所不備を防ぐ「見せ方」と「メール」
楽天のシステム上、住所入力欄の必須化などはできませんが、商品ページのカゴ横画像や説明文で「建物名・部屋番号の入力漏れにご注意ください」と視覚的に訴えることは可能です。
また、注文確認メール(サンクスメール)の冒頭で住所確認をお願いする一文を入れるだけでも、お客様自身の気づきにつながります。
お客様自身での「受取変更」を促す誘導
以前は備考欄に「不在時は宅配ボックスへ」などの記入を促す手法がありましたが、現在はデータ連携の妨げになるため推奨されません。代わりに、発送完了メールで配送会社の追跡URLを案内し、「受取日時や場所の変更はお客様ご自身で配送会社のサイトから可能です」と誘導するのが最も確実で、トラブルも減らせます。
物理的な「梱包」と「ラベル」の最適化
梱包面では、ポスト投函が可能な商品は外装を見直してサイズの壁を越えやすくし、壊れ物は置き配可否を明示してトラブルを未然に防ぎます。ラベルは建物名を太めのフォントや大きめのサイズで強調し、備考はスキャナで読み飛ばされにくい位置に配置。「読める・伝わる」だけで再配達は確実に減らせます。
運用編:配送業者との連携とテストの手順

連携は“現場で機能する約束”に落とし込むことが肝心です。いきなり全店で変えず、小さく試して広げるのが成功のコツです。
現場担当者と握るべきルールと目標
まず担当営業所と窓口を定め、課題(不在・住所不備・持ち戻りの偏り)と目標(初回配達成功率の改善幅)を共有します。時間帯指定の運用、配達前通知、置き配の同意方法、営業所止め・ロッカー受取の条件を最新のガイドに沿って確認し、現場の実情に合わせたルールを決めましょう。
小さく始めて成功パターンを作る
エリアや商品を限定した小規模パイロットを2〜4週間で回し、事前に決めた指標で前後比較を行います。小さく試して、早く学び、良い手だけを大きくする。 この回し方が、日々の出荷に追われる現場にとって最も効果的で現実的です。成功パターンをテンプレート化して横展開すると、現場の負担を増やさずに効果を広げられます。
施策の効果を正しく測る比較方法
運用のコツはシンプルです。配送会社ごとの「配達完了」「不在」などの表現を自店ルールに統一し、比較の切り口(期間・エリア・配送会社・サイズ)を固定して推移を追います。施策の開始日や変更点を履歴化し、グラフで可視化して関係者間で共有するだけで、意思決定のスピードが上がります。
応用編:よくある壁とトラブル回避のコツ

施策を実行しても効果が出にくい場合、ボトルネックになりやすいポイントがあります。以下の3つの視点で微調整を行いましょう。
注意喚起がスルーされる時の対策
「注意喚起をしたのに住所不備が減らない」という悩みはよくあります。文字だけでは読まれないため、画像の活用やサンクスメールの件名工夫で目立たせます。視覚的なインパクトを変えるだけで反応率は変わります。
置き配・通知のトラブル防止策
「置き配の案内がトラブルにつながる」場合は、対象外の明示と補償範囲の説明が不足していることが多いです。各配送会社の規定を確認し、リスクを含めて説明を欠かさないようにしましょう。
スマホユーザーに届く通知の工夫
「通知が読まれない」ときは、件名と冒頭に到着予定日時と行動ボタン(受取方法変更リンク)を配置します。スマホで見やすい短文に整え、“読む人の状況”に合わせると、メッセージは届きます。
まとめ
再配達は店舗のコストだけでなく、お客様の負担や社会全体の負荷にもつながる重要な課題です。 国の方針や配送各社の取り組みでも、受け取り方法の多様化や事前通知の充実が進んでいます。だからこそ、私たち店舗側も「どこで何が起きているか」を数字と現場の両方でつかみ、注文画面のひと工夫、伝わる連絡、そして気持ちの良い連携を積み重ねたいところです。
今日から、コストと満足度を同時に改善する一手を進めましょう。
<ご注意>本記事は執筆時点の情報に基づいています。楽天市場の仕様・出店ルール、RMSの機能、ならびに配送各社(日本郵便・ヤマト運輸・佐川急便等)のガイドラインやサービス内容は予告なく変更される場合があります。実装・運用前には、必ず各社の公式サイトや楽天RMSの最新マニュアル、配送会社の公式アナウンス・約款をご確認ください。
