楽天で売上はある程度立っているけれど、「なんとなく売れているだけで、理由がはっきりしない」「もっと客単価を上げたいが、打つ手がマンネリ化している」とお悩みではありませんか? 楽天市場は巨大なショッピングモールであり、自社サイトのように顧客データを直接保有することが難しい場所です。
しかし、だからこそ楽天が提供するRMS内のデータを正しく読み解き、適切な機能(クーポン、広告、商品ページ改善)を組み合わせるデータドリブンな店舗運営が、競合との大きな差になります。感覚や経験則だけに頼らず、数字に基づいた「根拠のある施策」で、着実に売上のベースを上げていきましょう。
準備:楽天で「見えるデータ」と「守るルール」の確認

精度の高い施策は、現状の正しい把握から生まれます。まずはRMSで「何が見えて、何ができないか」を明確にしましょう。自社EC(Shopifyなど)とは異なり、楽天では個人のメールアドレスやCookieを店舗側で自由に操作することはできません。その代わり、楽天には強力な分析ツールであるR-Karte(店舗カルテ)やアクセス分析が標準で備わっています。
データを見る際は、単に「アクセス数」を見るのではなく、「スマホ経由の転換率」と「商品別のアクセス人数」を軸にします。現在はアクセスの8割以上がスマホという店舗も珍しくありません。PCの画面で判断せず、必ずスマホでの見え方と数字をリンクさせてください。また、顧客対応ツール(R-Messe)や注文データ(マスク化されたメールアドレス)は、店舗の大切な資産です。これらを活用する際は、楽天の厳格なガイドライン(外部サイトへの誘導禁止など)を遵守し、あくまで楽天のエコシステム内で回遊させる設計が必要です。ルールを守りながら、RMSの分析機能を使い倒すことが楽天攻略の第一歩です。
R-Karteで最初に見るべき3つのポイント
データドリブンといっても、すべての数字を見る必要はありません。まずは以下の3点を確認し、自店の「今の状態」を把握しましょう。
- 店舗カルテの「アクセス人数」と「転換率」の推移
前年同月と比較して、落ちているのはどちらですか? アクセスなら「集客」、転換率なら「商品ページ」に課題があります。
- 検索キーワードランキング
お客様が「どんな言葉」であなたの商品にたどり着いたかを確認します。意外なキーワード(例:「ギフト」「大容量」など)があれば、それが新しい施策のヒントになります。
- 離脱ページ情報
せっかく来店したのに、どこで帰ってしまったのかを見ます。トップページでの離脱が多いならナビゲーションが、商品ページでの離脱が多いなら価格や画像の魅力不足が疑われます。
実行:RMS機能を使った3つの具体策

効果が出やすく、数値で検証しやすい施策から優先的に取り組みます。楽天のシステムに合わせた「短期・単価アップ・リピート」の3つの型に加え、検索連動型広告の活用についても解説します。
1. 「買わない層」を追いかけるTDA広告×クーポン
商品ページまでは来ているのに購入に至らない層には、追いかけのアプローチが有効です。自社ECのようなカゴ落ちメールは送れませんが、代わりにTDA(ターゲティングディスプレイ広告)を活用します。「自店舗の商品を見たが買っていないユーザー」や「競合商品に興味がある層」に絞ってバナーを表示し、同時に「期間限定クーポン」を提示して背中を押します。「見ていた商品がお得になりますよ」というメッセージを画像で視覚的に伝えるのがポイントです。クーポン配布枚数と利用率をセットで計測することで、バナー画像の勝ちパターンが見えてきます。
2. 検索データを活かすRPP広告のチューニング
楽天の中で最も強力なデータ収集ツールの一つがRPP(検索連動型広告)です。これは単なる広告ではなく、「売れるキーワード」を見つけるための投資です。「パフォーマンスレポート」をダウンロードし、実際に購入につながったキーワード(CVキーワード)を特定しましょう。もし「父の日 ギフト」で売れているなら、商品名やキャッチコピーにその言葉を加え、さらにSEO対策を強化します。逆に、クリックされているのに売れていないキーワードは「除外設定」をして無駄なコストをカットします。「広告で当たりを探し、SEOで利益を出す」のが鉄則です。
3. 客単価を上げる工夫とまとめ買いの設置
1人あたりの売上(LTV)を上げるには、注文時の工夫が不可欠です。RMSの「組み合わせ購入設定」を使い、メイン商品と相性の良い消耗品や関連商品をカート画面で提案します。
- 高価格:全部入りセットや大容量(例:10,000円)
- 本命:一番売りたい標準セット(例:5,000円)
- 低価格:お試し単品(例:3,000円)
さらに「あと1,000円でクーポンが使えます」といった店舗内回遊バナーを設置し、ついで買いを誘う導線を作っておきましょう。
4. 初回購入者を定着させる「サンキュークーポンと同梱物」
楽天でのリピート施策の基本は、サンキュークーポンの自動発行です。購入後のメールは開封率が下がっているため、商品を発送する際の「同梱チラシ」も併用します。チラシにはQRコードを載せ、LINE公式アカウントやSNSではなく、まずは楽天店舗内の「次回使えるクーポン取得ページ」や「レビュー投稿画面」へ誘導します。「レビューを書くと次回○○円OFF」という特典を用意し、2回目の来店動機を確実に作りましょう。レビューが増えれば、それが新たな検索順位アップのデータとして機能します。
効果測定とトラブルシューティング

「なんとなくやった」で終わらせず、必ずRMSのレポートで答え合わせをします。ここでは、数字が悪かった時にどう判断すべきか、具体的な診断基準をお伝えします。
数字で見る「悪いところ」の特定方法
施策を行っても売上が伸びない場合、以下のロジックツリーで原因を特定します。
- アクセス数が少ない場合
原因は「露出不足」か「クリック率不足」です。RPP広告のキーワード入札額を上げるか、検索結果に表示される「商品画像(サムネイル)」を変更してください。特にサムネイルは、文字の大きさや背景色を変えるだけでアクセスが2倍になることもあります。
- アクセスはあるが、転換率(CVR)が低い場合
原因は「価格」「レビュー」「ページ内容」のいずれかです。競合より価格が高すぎないか、悪いレビューが目立っていないか、スマホで見た時に説明が長すぎて離脱していないかを確認してください。クーポン発行はこの段階で最も効力を発揮します。
- 客単価が低い場合
原因は「セット商品の不在」です。まとめ買いの選択肢が見えにくい場所にありませんか? 商品ページの上部や、スマホの「商品詳細を見る」ボタンの直下に、お得なセットへのリンクを配置してください。
サムネイルとクーポンのA/Bテスト手順
楽天では、検索結果に表示される「商品画像(サムネイル)」が命です。期間を区切って(例:1週間ごと)画像の切り口を変え、アクセス数と転換率の変化を比較します。
例えば、
- Aパターン:商品の全体像をきれいに見せる「イメージ重視」
- Bパターン:文字でメリットを大きく書いた「訴求重視」
この2つを交互に試し、数字が良い方を残します。クーポンも「300円OFF」と「10%OFF」でどちらが利用されるか、期間を変えてテストします。条件を一つだけ変えて比較することで、お客様の好みがデータとして蓄積されます。
PoCから本番へ:小さく始めて大きく育てる

全商品で一気にやるのではなく、主力商品1つから小さく試します。リスクを抑えながら、成功パターンを見つける手順です。
フェーズ1:主力商品での小規模テスト
まずは一番アクセスのある商品ページだけで、セット販売の案内を目立たせたり、クーポンのバナーを設置したりしてみます。手間をかけず、今のページ構成を少し変えるだけでできることから始めます。ここで「反応が変わった」という事実を確認することが目的です。
フェーズ2:効果検証と横展開
テストの結果、客単価が上がったり転換率が改善したりした場合は、その手法を他のカテゴリや商品にも広げます。逆に効果がなかった場合は、画像のデザインを変えるか、オファー(割引額など)を見直します。成功した施策を「店舗の勝ちパターン」としてマニュアル化し、スタッフ全員で共有しましょう。また、楽天スーパーSALEやお買い物マラソンなどのイベント時は、普段とは異なるデータ(買い回り需要など)が出ます。イベント時専用のデータも別途記録しておくと、来年の対策が非常に楽になります。
まとめ
楽天でのデータドリブンな施策とは、難しい分析ツールを入れることではありません。R-Karteのデータを毎日確認し、RPP・TDA広告・クーポン・セット販売・同梱物といった基本機能を、数字を見ながら使いこなすことです。「なぜ売れたのか」「なぜ落ちたのか」を数字で説明できるようになれば、店舗運営はもっと面白く、安定的になります。まずは「商品画像のテスト」や「サンキュークーポンの設定」など、今日できることから一つずつ始めてみてください。数字に基づいた小さな改善の積み重ねが、やがて大きな売上の差となって返ってきます。
<ご注意>本記事の内容は、執筆時点での楽天市場の仕様に基づいています。RMSの機能や広告メニュー、ガイドラインは頻繁に変更されるため、必ず店舗運営Naviや公式アナウンスで最新情報を確認してください。
