楽天でお店を運営していて、「お客様が戻ってこない」「セール以外は反応が薄い」と感じていませんか。メルマガ、クーポン、ポイントは、それぞれをうまく組み合わせることで、一度の買い物を長く続く”ファンづくり”につなげる強い味方になります。
この記事では、初心者でも取り組みやすい基本の考え方から、RMS(店舗運営システム)で実際に使える運用のコツまで、紹介します。小さな工夫でお客様とのご縁を育て、次の来店につなげていきましょう。
課題の整理

数値の見える化と分析の軸
最初の一歩は「今の状況を整える」ことです。難しい分析は不要。日々見ている数字を一つの紙にまとめ、気づきを言葉で残します。とくに再購入率・平均注文金額・メルマガ開封率・クーポン利用率は、リピートの伸びしろを紐解く核心です。直近30・60・90日の動き、前回から次回までの日数の中央値、よく売れる商品グループ、小さな低評価の共通点まで拾い上げましょう。楽天全体の会員ランク集計と自店の受注集計は軸が異なるため、比較は必ず同じ土台で行うことが肝心です。
よくある課題と原因の切り分け
よくある壁は似ています。セール時だけ動くのは、通常時の価値訴求が弱いサイン。初回で終わるのは、2回目に進む道筋が見えづらい状況。メルマガの反応が下がるのは、内容が画一化している合図。ポイントで利益が削られるのは原価管理の落とし穴。レビューが増えないのは依頼のタイミングがずれている可能性。評価が下がるのは配送や梱包の体験が原因になりがちです。ここを「誰の・いつの・何が」で切り分け、影響が大きく手を打ちやすい順から整えるのが効果的な進め方です。
優先順位とKPIの設定
優先度づけは、売上・利益・満足の改善幅と、準備や確認の手間で見通しを立てます。たとえば、1ヶ月あたりのポイント・クーポン予算、1週間のメルマガ配信頻度、効果判定のKPI(再購入率・購入間隔・平均単価・解除率)を先に決め、ガードレールとして運用に組み込みましょう。小さなテスト→数字確認→拡大の順で丁寧に進めれば、ムダ打ちを抑えられます。
「特別感」で顧客を育てる設計

RMS機能を活用した擬似ランク制度
RMSには店舗独自の会員ランク機能はありませんが、工夫次第で常連様への特別扱いは可能です。メルマガ配信機能(R-Mail)のリスト作成を活用し、「過去に購入歴がある人」や「一定回数以上購入した人」を対象に絞り込み、シークレット特典(限定クーポンなど)を届けることで、ランク制度のような体験を作れます。再購入を増やしたいなら回数で区切り、平均単価を上げたいなら「◯円以上で使えるクーポン」を用意するなど、目的を一つに絞るとブレません。
ステップごとの特典設計
特典は「安心→特別→VIP」の流れで積み上げます。初回購入者には同梱物でのフォローや相談窓口案内で不安を解消。リピーターには購入者限定メルマガでシークレットクーポン(値引き)や新商品の先行案内を行い特別感を演出。さらに優良顧客には、割引率の高い限定クーポンの配布など、手触りのある待遇を用意します。コストを抑えつつ体験価値を高めるなら、サイズ選びガイド、FAQ同梱、まとめ買い提案の三点セットが堅実です。
アプリ連携と導入のロードマップ
なお、PointClubアプリではユーザーが獲得ポイントの実績を確認できます。メルマガや同梱案内で「今回のポイントはアプリの実績タブ(獲得予定)でご確認ください」と一言添えると、楽天ポイントが貯まるお得感を再認識してもらうきっかけになります。
導入は小さく。まずは「購入者全員」と「リピーター」の2軸でクーポンの出し分けなどを開始し、成功指標は30日以内の再購入率や購入間隔の短縮に一本化。導入前後の同期間で数字を比べましょう。
メルマガで動かす仕組み作り

ターゲットの絞り込みと配信戦略
メルマガ(R-Mail)は「必要なタイミングに、必要な人へ、必要な内容」を届ける道具です。一斉配信だけでなく、RMSの顧客管理機能を使って配信対象を絞り込むのがコツです。重要度の高いセグメントは、初回購入から日が浅い層への次の一歩の提案、30~90日購入なしの方へのやさしいリマインド、優良顧客への新情報・先行案内です。反応が薄い層は配信を減らし、強い層に集中するのが効果的な選択です。
タイミングと頻度の最適化
配信タイミングは購入サイクルを意識します。購入直後の「受注・発送メール」では、お礼と到着目安を丁寧に伝えて安心感を(ここは宣伝色を消します)。商品到着後しばらく経った頃に、メルマガで商品の活用法や困りごとの解決策を配信し、満足の定着を後押し。その後、消耗品なら補充の提案、買回品なら関連商品の提案を行い、関係を継続します。頻度は「自分が受け取って心地よいか」を物差しにし、過剰送信は避けるのが鉄則です。
クリックされる件名と本文の鉄則
件名は要点を前に置き、本文はスマホで読みやすく、必ず役立つ一言を入れます。行動案内はリンク(CTA)を一つに絞ると迷いが減ります。テストは一度に変えるのは一か所だけ。基準は開封率・クリック率・購入率・解除率の4点で、成功ルールを事前に決めてから実施します。
ポイント施策と実務運用、テスト設計

利益を残すポイント変倍の考え方
ポイント変倍は「また来よう」の小さなスイッチです。ただしRMSの設定では予算上限機能(これ以上付与されたらストップする機能)はないため、事前の原価計算が必須です。通常ポイントは土台となる安心感をつくり、期間限定ポイント(キャンペーン参加など)は期限が背中を押すため、再購入の起点になりやすい構造です。表示は「倍率・期間・条件」を明確に伝えます。
ターゲット別の還元と提案セット
還元率は控えめを基本に、特定時期だけポイントを上乗せするのが堅実です。重点対象は、上位顧客と初回→2回目の移行層。リピーター限定クーポンや「楽天会員ランク別変倍」などを活用し、単純な値引きに頼らず、次に役立つ提案をセットにします。効果判断は、付与コストより増加粗利が上回っているか、再購入率・購入間隔・平均単価が改善しているかで見ます。
小さなテスト運用と改善サイクル
実務は低コストのA/Bテストから。人気カテゴリを一つ選び、ポイント変倍やクーポンと関連メルマガを連動。対象は初回購入者や一定期間購入のない方に絞る。KPIは30・60・90日の再購入率、クーポン利用率、ポイント原価と増加粗利の差、メルマガ解除率・レビュー変化を継続監視。月1回のレビューでRMSヘルプを検索し仕様の更新を確認、必要な微修正を都度反映させます。こうした運用の地ならしが、継続的な成果を支えます。
まとめ
まずKPIと顧客データを整え、課題に優先順位を付けることが出発点です。リピーター施策は絞り込み配信や限定クーポンで段階的に育て、メルマガは購入履歴と反応で絞ったセグメントに、心地よい頻度と中身で届ける。ポイントはメリハリを付け、還元率は小さく試しながら費用対効果で調整。RMSと簡易データの連携で運用を効率化し、小さな仮説→検証→改善を積み重ねれば、リピートとLTVの見通しは着実に良くなります。今日できる一手を選び、数字で確かめ、次へつなげましょう。
運用開始前にはRMSへログインし、ヘルプ検索で「クーポン発行/R-Mail/ポイント変倍」の最新情報を確認してください。施策は小規模検証→拡大を基本に、月1回のKPIレビューと規約照合を習慣化しましょう。
<注意>本記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。楽天の仕様・ガイドライン・ルール等は予告なく変更される場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトやRMSヘルプ等をご確認ください。
