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Amazon FBAでSKU別利益を算出する方法を解説

Amazon FBAでSKU別実質利益を正確に出せずに「どの商品が本当に儲かっているかわからない」「広告や手数料を入れると利益が圧迫される」と悩んでいませんか。SKUごとの実質利益は、仕入れ原価やFBA手数料、発送費、広告費、返品リスクなどをきちんと組み合わせて見直すことで、ぐっと明確になります。この記事では、基本の計算方法から、在庫や広告の影響を考慮した実践的な見方まで、段階的に解説します。SKU別の利益をしっかり把握して、価格設定や仕入れ判断に自信を持てるようになりましょう。

SKUごとの利益が見えない症状

この章では、よくあるつまずき方を整理します。自分の状況に近いものから読んでいただくと、どこを直せばよいかが見えやすくなります。「どこで利益が消えているか」を切り分けるのが第一歩です。

粗利と実利が大きくずれているケース

概算粗利(販売価格 × (1 – 販売手数料率) – 仕入れ原価)と実際に口座に残るお金が大きく違うことは珍しくありません。ずれの主な理由は、FBAの発送費・保管料・返品処理費、クーポンやポイント原資などを抜かしてしまうためです。

これらはAmazon公式ヘルプに料金表と条件が公開されていますが、更新されることがあるため、計算前に最新の表を必ず確認しましょう。「一部の費用の見落とし」がズレの最大要因です。

SKU別実質利益の基本計算式

実質利益 = 販売価格 × (1 - 販売手数料率) - 仕入れ原価 - FBA関連費用 - 広告費 - その他コスト

在庫回転が遅く長期保管料が発生しているケース

在庫の動きが遅いと、毎月の保管料が積み上がり、在庫年齢が一定日数(181日超)になると長期保管料という追加費用がかかります。すると1点あたりのもうけがいつの間にか薄くなります。

セラーセントラルの在庫管理画面には在庫年齢や長期在庫の有無が表示されますので、販売数だけでなく「いつ売れたか」も合わせて見ていくことが大切です。古い在庫放置は高コストにつながります。

特に季節商品や流行り廃りの早いアイテムは要注意です。適切な在庫量を維持できていますか?販売予測と実際の動きにズレがある場合は、早めの対策が必要になります。

広告費が高止まりしてROASが合わない商品

広告に使ったお金のわりに売上が伸びないと、利益はすぐに削られます。ROASACoSが高くなりすぎていないか、商品ごとに見直しましょう。

広告レポートでは商品ごとに集計ができます。自社名に関する検索と一般的な検索を同じ広告で混ぜると数字が荒れやすいので、分けて見るのが安全です。「どのキーワードで売れているか」を把握するとムダが削れます。

例えば、ブランド名で検索されているなら広告費を抑えても売れる可能性が高いですが、一般的なキーワードでは競争が激しく広告費が高くなりがちです。どの商品がどのキーワードで売れているのかを把握することで、無駄な広告費を削減できるでしょう。

原因を分解して見るポイント

ここでは、利益が見えなくなる原因を小さく分けて、どこを直せば改善しやすいかを示します。難しい言葉は避け、実際に手を動かせる観点だけを並べます。原因は「抜け漏れ・配賦・運用ルール」の3軸で点検します。

原価計算の抜け漏れと見落とし項目

「1点の本当の仕入れ代」は、商品代だけではありません。費用項目の網羅が重要です。下記の費用項目を漏れなく計上しましょう。

費用項目算出方法(1点あたり)
仕入れ原価商品単価そのもの
輸送費ロット単位の送料を入庫数量で割る
関税・税金通関時の支払額を入庫数量で割る
梱包・ラベル費発生した作業費用を対象商品数で割る
FBA手数料サイズ・重量に基づく公式料金表で確認
FBA保管料月額保管料を在庫数で割る(季節で変動)
返品処理費カテゴリに応じた返品率を考慮して計算
クーポン・ポイント原資付与率×販売数から1点あたりに換算
広告費広告レポートのSKU別費用を販売数で割る
出品プラン月額費大口出品の月額4,900円を全SKU数や出荷点数で配分

大口出品の月額料金は固定費として扱い、全商品(または全SKU)に均等配分して1点当たりコストを算出します。例えば、月額4,900円を月の出荷点数や計上する基準点数で割って配賦します。

為替差や突発の小さな費用は、1点あたりの端数に少し上乗せして吸収しておくと、実際の着地に近づきます。料金は必ず最新のFBA料金表で確認を。

実際に計算してみると「こんなに費用がかかっていたの?」と驚くことも多いです。でも、現実を知ることが改善の第一歩です。

広告の振り分けの誤りとキャンペーン構成の問題

広告費を商品ごとに正しく振り分けないと、どの商品が収益を圧迫しているのかがわかりません。1つのキャンペーンに多くの商品を混ぜると、どれにお金が使われたか追いにくくなります。

商品ごと、または似た性格の商品ごとにキャンペーンを分け、検索語の種類(自社名系と一般語)も分けると、集計がクリアになります。広告レポートの「商品別の売上・費用」を基準に、SKU別に広告費を振り分けるのが基本です。配賦が正確になるほどSKU別の利益が見えます。

広告効果を測る指標は、ACoS(売上に対する広告費割合:低いほど効率的)とROAS(広告費に対する売上比率:高いほど効率的)が基本です。

例えば、10商品が混ざった広告があると、どの商品に広告費がどれだけ使われているのか見えにくくなります。できるだけ商品ごとにキャンペーンを分けておくと、後の分析が楽になるでしょう。

梱包サイズや仕入れ依存、在庫管理ルールの欠如

FBAの発送費は品物の大きさや重さで変わります。外箱や内袋のサイズを少し見直すだけで区分が下がり、1点あたりの費用が下がることがあります。

また、仕入れ先が1社だけに偏ると、値上げや遅延で原価がぶれやすくなります。在庫では「いつ、いくつ補充するか」の基準がないと、余り気味の品が増えて保管料が肥大化します。簡単な分類ルールで回転と在庫を整えるのが有効です。

簡単な分類(よく売れる、普通、あまり売れない)を作り、品ごとに補充と値付けのルールを持つことが大切です。特に季節商品は事前に「いつまでに在庫を消化するか」という期限を決めておくと安心です。

梱包資材の選定一つで利益が変わることもあります。少し軽い素材に変えるだけで、送料や保管料が下がるケースも少なくありません。細かいところですが、積み重なると大きな差になるんですよ。

SKU単位で実質利益を出す方法と具体例

利益の計算に必要な項目を順序立てて考えましょう。実際のケーススタディを交えて解説します。「順序」と「最新単価」でズレを防ぎます。

計算に入れる項目の順序と考え方

まずは、売上から以下の費用を順番に差し引いていきます:

  1. 販売価格から販売手数料を差し引く
  2. 仕入れ原価を差し引く(ここまでが粗利)
  3. FBA関連費用(発送・保管・返品処理)を差し引く
  4. 広告費を差し引く
  5. その他コスト(出品プラン月額の配分など)を差し引く

この計算を各SKUごとに行い、実質利益を把握します。特に注意したいのは、FBA手数料や保管料はサイズ・重量・季節によって変動し、改定は年次や繁忙期に行われる可能性があるため、最新情報はAmazon公式のFBA料金表で常に確認することが重要です。

純利の計算式と具体的な数値例

実質利益計算の具体例を見てみましょう:

例:販売価格3,000円の商品の場合(カテゴリ手数料15%と仮定)
・販売価格: 3,000円
・販売手数料(15%): -450円
・仕入れ原価: -1,500円
・FBA発送料: -400円(サイズ・重量による)
・月間保管料: -50円(サイズ・季節による)
・広告費: -300円(ACoS 10%の場合)
・出品プラン配分: -20円(月額費用の按分)
・その他コスト: -80円(返品処理・梱包等)
=実質利益: 200円

※上記は例示であり、実際の費用はAmazon公式の最新料金表で確認してください。粗利だけでなく実費を差し引いて「真の利益」を見るのが肝です。

この計算を全SKUに適用することで、どの商品が本当に儲かっているのかが明確になります。粗利率が高くても、広告費や保管料を考慮すると実質赤字になっているケースも少なくありません。

広告費と長期在庫リスクの配賦ルール

広告費の配賦は、広告レポートからSKU別に費用と売上を取得するのが基本です。自動広告と手動広告を分け、それぞれのパフォーマンスを確認しましょう。「広告費はSKU別」で集計するのが原則です。

長期在庫リスクについては、在庫年齢を監視し、181日を超えると長期保管料の対象になることを念頭に置きます。セラーセントラルの在庫管理画面で在庫年齢を定期的に確認し、滞留傾向のあるSKUには早めの価格調整や販促策を講じることが重要です。

特に注意するのは、季節商品の事前計画、売れ行きの悪いSKUの早期価格調整、返品率の高いカテゴリでの返品処理費の上振れ見積もりです。

優先的に取り組む改善策と実務対応

SKU別利益を把握した後は、具体的な改善策に取り組みましょう。優先度の高い順に実施していくことで効果が最大化します。まずは「手数料・物流」から着手するのが効率的です。

手数料と物流コストの最適化手順

  1. FBA手数料の区分確認:サイズ・重量を見直し、可能であれば下のサイズ区分に収まるよう梱包を最適化
  2. 梱包資材の見直し:軽量・コンパクトな資材への変更で保管料・送料を削減
  3. 返品率の高いSKUの特定:品質改善や商品説明の見直しで返品を削減
  4. 保管料の季節変動考慮:繁忙期は保管料が上がるため、在庫計画を調整

カテゴリによって販売手数料率が異なるため、正確なカテゴリ設定を確認し、可能であれば手数料率の低いカテゴリに変更できないか検討してみましょう。

仕入れコスト削減と品質管理の実務

次に、仕入れコストの削減と品質管理に取り組みます。複数の仕入れ先の確保で依存を避け、発注ロットの最適化でコストと在庫リスクのバランスを取りましょう。品質管理を徹底して返品を減らし、海外仕入れなら為替の影響も見込んだ計画を立てます。品質向上はコスト削減に直結します。

高品質な商品を提供することで、顧客満足度が上がり、結果的に返品率の低下やリピート購入の増加につながります。短期的なコスト削減だけでなく、長期的な視点で品質と価格のバランスを考えましょう。

在庫運用と広告運用の改善点(ABC分類とACoS対策)

最後に、在庫と広告の運用改善に取り組みます。ABC分析で優先度を明確にし、ACoSの目標をSKUごとに設定します。

  • A商品(高利益・高回転):在庫を潤沢に、広告投資を積極的に
  • B商品(中程度):適正在庫を維持し、効率的な広告運用
  • C商品(低利益・低回転):在庫を最小限に、広告費は慎重に

広告運用では、自社ブランド検索と一般キーワード検索を分けて管理し、それぞれに適した予算配分を行いましょう。また、季節性のある商品は、シーズンに合わせて広告戦略を調整することが効果的です。指標は「ACoS目標」と「在庫年齢」で回す

まとめ

SKU別の“実質利益”は、原価やFBA手数料、発送費、広告、長期在庫リスクを抜けなく合算すれば見えてきます。粗利と実利のズレは、広告配賦や梱包サイズ、在庫ルールの見落としが原因です。まずは計算式に漏れをなくし、ABC分類で優先度を決め、手数料・仕入れ・広告の順で改善を進めましょう。

<ご注意>本記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。Amazonの仕様・ガイドライン・ルール等は予告なく変更される場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトやAmazonセラーセントラル等をご確認ください。

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