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AmazonFBAで利益を最大化する在庫運用の仕組み

Amazon FBAで販売していると、気づかないうちに在庫がなくなって販売チャンスを逃してしまった…そんなことはありませんか。欠品を防ぐには、「いつ」「どれだけ」補充するかをあらかじめ決めておく在庫ルール(在庫ポリシー)が大切です。本記事では、初心者でも無理なく取り組める考え方から、発注タイミング、納期や季節変動への対応といった実践的なポイントを整理してお伝えします。読み終えるころには、自分の販売スタイルに合ったFBA在庫ルールの骨組みがつくれるはずです。一緒に欠品リスクを減らして、安定した販売につなげていきましょう。

問題の特定と「見える化」

まずは「何が起きているのか」を落ち着いて「見える化」することがスタートです。セラーセントラルの公式レポートや管理画面を土台に、気づきやすいサインと基本の数字から現状を把握しましょう。

よくある症状と現場でのサイン

現場では、商品ページの表示、在庫の売れ残り、料金の増減、顧客の反応などに小さな変化が現れます。以下を手掛かりに、欠品と過剰在庫の兆候を拾い上げましょう。

  • 商品ページが「在庫切れ」表示になり、カートが取れなくなったり、検索順位が落ちる
  • 在庫を補充した後も売れ行きが戻らず、FBAの保管料が増加する(売れ残りのサイン)
  • 在庫年齢が進み「長く置かれている在庫」が増える(長期在庫手数料の発生リスク)
  • 価格変更・広告出稿後に売れ行きが大きく上がったり下がったりし、発注の判断が難しくなる

まず確認すべき主要指標

Amazonの在庫成績表(IPI)「あと何日分在庫があるか」の目安(有効在庫日数)、欠品率、在庫年齢などの基本指標を、決まったタイミング(毎週月曜など)で確認すると、在庫の健康状態が素早く把握できます。返品理由や販売できない在庫(販売不可在庫)の内訳も合わせて見れば、商品ページや運用上の課題が絞り込めます。

  • Amazonの在庫成績表(IPI)で全体傾向を把握
  • 有効在庫日数=現在の販売可能在庫 ÷ 1日あたり平均何個売れるか
  • 欠品率・売切れ日数(商品ごとの在庫ゼロだった日数)
  • 在庫年齢レポートで売れ残り状況を特定し対策を検討

データからできる初期診断

「どの商品(SKU)が、いつ、どれくらい欠品したか」を日付順に並べてみて、特別な要因(テレビ紹介など)の影響を切り分けるだけで、最初の診断の精度は大きく上がります。FBA倉庫に入荷してから販売可能になるまでの実際にかかった日数、返品理由の偏り、Amazonが提案する補充数と自分たちの実績の差も併せて確認しましょう。

原因の分析

「見える化」で「あやしい箇所」が見えたら、「①売れ方(お客さん側)」「②商品の手配(仕入れ側)」「③自分たちの作業(社内)」の3つの視点で切り分けます。対処は原因に合わせて変えるのが近道です。季節性・価格/広告・競合の動き・ページの見やすさといった「売れ方の要因」、仕入れや輸送とFBA倉庫での受領のバラつきといった「仕入れの要因」、ルールが決まっていない・守られていないといった「社内の要因」を見比べます。

需要側(売れ方)の要因と見分け方

季節の波や行事による売れ行きの増減、価格変更や広告出稿の前後での売れ行きの差、競合の在庫・価格の変化、商品ページの情報不足などが主な原因になりやすい項目です。平均の売れ行きを計算し直す際は、たまたま爆発的に売れた日を除外し、「一時的なお祭りだった」のか「本当に売れる力が上がった」のかを見極める視点を持ちましょう。

供給側(仕入れ)の要因と「リードタイム」の扱い

「発注してから販売できるまでの時間」(=リードタイム)は非常に重要です。仕入先の出荷遅れや数量不足、集荷からFBA倉庫到着までの遅れ、FBAの倉庫に届いてから実際に「販売中」として棚に並ぶまで(=可用化)の遅れは、別々に記録します。

特にリードタイムは、

  1. 「発注」→「仕入先が出荷」
  2. 「仕入先が出荷」→「FBA倉庫に到着」
  3. 「FBA倉庫に到着」→「実際に販売中になる(可用化)」

に分解し、それぞれの合計時間について「平均(真ん中)はどれくらいか」「遅れるときはどれくらい遅れるか」を把握しておくと、安全在庫(予備の在庫)の設計が安定します。

  • 仕入先の遅れ・数量のズレは、予定と実際の結果の差で管理
  • 輸送のバラつきは、区間ごとに平均とズレを把握
  • FBA倉庫での受領の遅れは、「売れ行きが急に伸びた」と勘違いしない

内部運用(社内)の落とし穴

商品(SKU)が多すぎて優先順位が曖昧、担当者ごとに判断がバラバラ、ラベル不備や梱包ミスで販売できない在庫が増える、新商品を仕入れすぎて売れ残るなどが典型です。

対策として「在庫が残り○日分になったら発注を検討」「発注数量=(1日平均何個売れるか)×(発注から販売までの日数+予備の日数)−(今の在庫)−(これから入ってくる予定の数)」「1箱単位でキリよく発注する」などの基準を文章で書き出し、誰がやっても同じ結論になる仕組みを作ります。

必要データと指標の準備

在庫ルールは感覚ではなくデータで支えると迷いが減ります。商品(SKU)ごとの日々の販売数と在庫数、欠品した期間、価格・割引・広告の有無、仕入単価や「最低○個から」といった仕入れの条件(ロット)、(発注から販売までの)リードタイムの実績、入庫予定と実績の差、返品数と理由、商品の寸法・重量、在庫年齢、Amazonの在庫容量の上限、法律やルール(法令遵守)などをすべて揃え、判断の土台を固めましょう。

収集すべき必須データ一覧

日々の販売数と在庫数、欠品期間の記録、価格・割引・広告の実施有無、仕入単価とロット条件、各区間のリードタイム実績、入庫予定数と実績の差、返品とAmazonの保証申請(A-to-z)の傾向、寸法・重量(保管料の見積もり用)、在庫年齢・容量制限、カテゴリの法律や出品制限の確認、などを網羅します。出品可否と在庫運用に直結する法律・制限の事前確認が重要です。

算出すべき主要指標と計算方法

「1日あたり平均何個売れるか(平均日販)」=対象期間の販売数合計÷日数(※たまたま爆発的に売れた日は計算から除く)、売れ方のバラつき(中央値や標準偏差)、有効在庫日数=現在の販売可能在庫÷平均日販、欠品率=欠品だった日数÷対象日数、在庫年齢の割合やFBA受領の安定度、シンプルな予測売上=近い期間の平均日販×目的期間日数(季節性が強い場合は前年同月も参照)を用意します。「普段の」水準を押さえるため、急な山(セールなど)を除いて再計算するのがコツです。

データ品質のチェックとプロモーション処理

データが抜けていたり、ダブっていたりしないか(欠測・重複)の確認、価格大幅変更や広告で急に売れた日の「メモを残す(特需マーキング)」、返品多発日の前後調整、FBA受領が遅れた期間のメモ化などで、需要(売れ方)と供給(仕入れ)の出来事を混同しないようにします。Amazonの自動補充提案は参考値に留め、自分たちのデータと照らし合わせた判断を行いましょう。

発注方針と実務で使う計算式と導入

在庫ルールを「計算式」と「文章」に書き出し、EOQ、安全在庫、発注点、キリのいい数にまとめる(丸め)ルールを組み合わせて運用します。数値は定期的に見直し、リードタイムや季節性の変化を反映させます。

EOQ(経済的発注量)と発注量の決め方と「丸め」ルール

経済的発注量(EOQ)**は、「発注の手間(コスト)」と「在庫を置く場所代(コスト)」のバランスが一番良くなる、1回あたりの最適な発注量を計算する方法です。(理論式:EOQ=√(2×年間需要数×発注コスト÷年間在庫保管単価))

実務では、仕入れの「最小単位(ロット)」や「1箱に入る数」に合わせてキリよく発注(丸め)し、「発注の手間」と「在庫を置く場所代」のトータルコストが一番安くなるようにすることを目指します。

  • 計算上の発注数が、仕入先の「最小発注数量」を下回る場合は、「最小発注数量」に引き上げる
  • 「1箱」または「1ロット」単位でキリのいい数に切り上げる
  • 発注の回数が多くなりすぎる場合は、複数回分をまとめる

安全在庫と発注点の算出式と解釈

安全在庫=(売れ方のバラつき)×(リードタイム)×(「どれくらい安全を見込むか」の調整値) (※「安全在庫」とは、欠品を防ぐための「もしも」に備えた予備の在庫のことです。)

発注点=(発注してから届くまでの間に売れる予想数)+(安全在庫) (※「発注点」とは、在庫がこの数になったら発注するラインのことです。)

在庫がこの「発注点」の数を下回ったら発注する、というのが基本です。予想販売数は季節性を考慮し、過去の同じ時期のデータも参照して決めます。

導入と運用ルールの実践ポイント

在庫ルールは作って終わりではありません。セールやイベントの前には個別に計画し、長期在庫は定期的に見直し、季節商品は早めに準備し、主力商品は早めに補充する、発注基準や「丸め」ルールを手順書にまとめる、といったことを行い、継続的に改善します。

Amazonへの補償申請(もしもの時の弁償)は、期限を守り、証拠をしっかり残すことが大切です。

  1. 補償対象の発生(破損・紛失など)を確認
  2. 証拠(梱包した時の写真など)を保存
  3. 申請するかどうかを判断
  4. 申請を実行
  5. 結果の記録と追跡

(発注から販売までの)リードタイムの変動に備えて、主力商品は余裕のある補充を行い、セールや納期遅延時の対応を事前に取り決めておくと現場の負担が減ります。

まとめ

欠品を防ぐには「いつ」「どれだけ」補充するかの在庫ルール(在庫ポリシー)が肝心です。販売データで問題を「見える化」し、「売れ方」「仕入れ」「社内運用」に分けて分析、必要データを揃え、EOQや丸めルール、安全在庫・発注点の計算式に基づき方針を決め、(発注から販売までの)時間を織り込んだルールを現場に落とし込むことが大切です。数値は定期的に見直し、セールや受領遅延時の運用を決めておけば対応が楽になります。まずは一つの商品から小さく始め、改善を続けてチャンスを逃さない仕組みを作りましょう

<ご注意>本記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。Amazonの仕様・ガイドライン・ルール等は予告なく変更される場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトやAmazonセラーセントラル等をご確認ください。

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