Amazonでの出品停止やアカウント制限に、急に慌ててしまったことはありませんか。停止の発見から対応、復旧までを「実務で本当に使える手順」として、やさしい言葉で順を追ってご案内します。
原因の見つけ方、まずやるべき優先対応、Amazonへの伝え方、そして復旧後に同じ問題を防ぐポイントまでを体系的に解説しますので、落ち着いて一つずつ進めていきましょう。
状況の確認を行う

最初の一歩は「正しく状況を知る」ことです。通知の見落としを防ぎ、どれから手をつけるかを素早く決められるよう、見る場所と考え方を固定しておきましょう。
チェックすべき3つの場所
セラーセントラルで確認すべき場所は主に3つあります。まず最も信頼できる情報源である「アカウント健全性」を確認し、理由や関係する規約、対象商品(ASIN)などの詳細を把握します。次に「パフォーマンス通知」を見て見落としがないかチェックし、最後に「メール(受信箱・迷惑メール)」も念のため確認しましょう。通知メールは迷惑メールに振り分けられることがあるため注意が必要です。見つけた通知はスクリーンショットや本文コピーなどで必ず保存し、担当者が複数いる場合はすぐに情報を共有します。
緊急度の判断基準
症状によって対応の優先度が変わります。最も優先度が高いのは、販売や出荷が止まってしまう「出品停止」や「アカウント一時停止」です。即時の対応が求められます。
次に優先すべきは「ポリシー違反の警告」や「本人確認」です。これらを放置すると停止につながる可能性があるため、該当商品の販売を一時停止して内容を精査しましょう。
注文不良率(ODR)などの「パフォーマンスの悪化」は、配送や連絡方法を見直し、改善計画を立てることで対応します。
原因を整理
原因を整理することで対応が効率的になります。通知内容をそのまま受け止め、過剰な解釈は避けましょう。
原因は大きく3つに分類できる
停止の原因は主に3つのパターンに分けられます。
1つ目は発送遅延やキャンセル率の上昇など運営品質に関わる「パフォーマンスの問題」、2つ目は偽物の疑い(真贋)や知的財産権の侵害、禁止商品の出品などルールに関わる「ポリシーの問題」、そして3つ目は本人確認書類の不備や複数アカウントの所持疑惑など身元に関わる「信頼性の問題」です。
これらを分類することで、集めるべき証拠が見えてきます。
まず集めるべき証拠リスト
状況に応じて必要な書類を準備します。仕入れに関しては、仕入先の情報や日付、商品名、数量が明記された請求書・納品書が必須です。商品の品質を証明するためには、外箱やラベル、JANコードが写った実物の写真や検品記録を用意しましょう。配送トラブル系であれば配送伝票の控えや追跡番号、購入者とのメッセージ履歴などの取引記録、アカウント系であれば免許証やパスポートなどの本人確認書類が必要です。
初動対応の実務フロー

問題発見後の初動対応が重要です。「記録を残す」「影響拡大を防ぐ」「対応準備を始める」の3ステップで進めましょう。
やってはいけない「NG行動」
焦って行動すると取り返しのつかないことになる場合があります。以下の行為は避けましょう。
- 新規アカウントの作成:絶対にNGです。規約違反となり、永久に販売できなくなる可能性があります。
- 証拠の削除:問題となった商品をカタログから削除したり、在庫を破棄したりすると、潔白を証明できなくなります。
- 感情的な反論:Amazonに対して怒りをぶつけても解決しません。事実に基づいて冷静に対応しましょう。
影響を最小限に抑える
被害を広げないために、まずは問題のある商品(ASIN)の出品を一時停止します。自己発送を行っている場合、未発送の注文があれば丁寧に対応し、発送するかキャンセルするかを判断します。また、FBA倉庫に在庫がある場合は、証拠保全のために返送依頼を検討することも重要です。
改善計画書(POA)の作成と提出

復旧の鍵は「原因の明確な説明」「実施済みの対処」「再発防止策」の3点セットです。情報の整理と提示方法を工夫することで、復旧審査がスムーズに進みます。
改善計画書(POA)の書き方
以下の3部構成で、簡潔かつ具体的に記述します。
- 根本原因(Root Cause):なぜその問題が起きたのか。「確認不足だった」「認識が甘かった」ではなく、「検品フローに〇〇の工程が抜けていた」など、事実ベースで書きます。
- 是正措置(Immediate Actions):問題発覚後、すぐに行った対応。「対象商品の販売を停止した」「在庫を全数検品した」「購入者に返金した」など、完了形で書きます。
- 再発防止策(Preventive Measures):
今後同じ問題を起こさないための具体的な仕組み。「検品リストを導入した」「仕入れ基準を見直した」「担当者への教育を行った」など、具体的に書きます。
提出後の対応
提出後はAmazonからの連絡を待ちます。追加情報を求められた場合は、速やかに対応しましょう。何度も同じ内容を送ったり、催促したりするのは逆効果です。
まとめ
アカウント停止は誰にでも起こりうるトラブルですが、落ち着いて手順を踏めば解決できます。まずは通知を確認して原因を特定し、必要な証拠を集めた上で、論理的な改善計画書を作成して提出しましょう。復旧後は、同じ問題を繰り返さないよう日々のチェック体制を強化することが大切です。焦らず、一つずつ着実に進めていけば大丈夫です。
<ご注意>本記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。Amazonの仕様・ガイドライン・ルール等は予告なく変更される場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトやAmazonセラーセントラル等をご確認ください。
