楽天のイベント前になると、「売上はどれくらい期待できる?」「在庫は足りる?」「広告にはどれだけお金をかけるべき?」と不安になりますよね。特に在庫発注と広告予算は失敗すると機会損失につながる大事な判断です。
この記事では、売上予測の基本から在庫の目安、広告費の考え方までをやさしい言葉で順を追って解説します。準備のポイントを押さえて、次の楽天イベントを落ち着いて迎えられるよう一緒に準備していきましょう。
準備とデータ整理

最初の課題は、使うデータを過不足なく集めて整えることです。ここで迷うと全体の見通しがぶれてしまいます。まずはRMS(店舗カルテ等)で取得できる基本指標をそろえ、日次の売上、アクセス指標、そして在庫予測に不可欠な商品別(SKU別)の販売個数を軸に据えます。収集対象と順番を先に決めるとムダ取りがしやすいため、データの粒度よりも順序を優先して着手しましょう。
必要データの一覧と優先順位
まずは直近1年分(可能なら2年分)の日次売上を抽出し、次に訪問数や購入率などの来訪データ、さらにイベント日を示す公式カレンダーの情報、最後に「商品ごとの販売個数」を加えます。価格改定や送料方針の変更があった場合は、その前後で期間を分けて扱うと、変化点の影響を切り分けやすいです。主要キーワードとしては、売上推移・来訪者・購入率・SKU別販売数を意識しておくと、後工程の算出がスムーズです。
日次集計の作り方とイベントフラグ付け
RMSのデータ分析機能から日別データをCSVで出力し、スプレッドシートに「日付・売上・注文件数・客単価」を並べます。別シートに楽天公式カレンダーからイベント日一覧を作成し、VLOOKUP等でイベントフラグを付与、曜日フラグも加えましょう。イベント定義は毎回の仕様(ポイント倍率やクーポン条件)に合わせて更新し、定義のズレという落とし穴を防ぎます。ここは地味ですが、後の精度を左右する基礎工事です。
除外ルールとデータ期間の目安
突発的大口や在庫切れの日などは平均値を歪ませます。まずは例外日を明示的に除外し、安定した傾向を抽出しましょう。典型例としては、異常な大量注文・在庫切れ・特別クーポンによる急伸です。同種イベントを複数回含む期間を使うと季節性も取り込めます。除外ルールはメモ化し、再現性を確保しましょう。
イベント係数の算出方法

イベントの強さを数値で紐解くために、イベント係数を使います。これは「通常日の売上(ベース)に対する増減倍率」です。係数化すると比較・共有・意思決定が一気に楽になるため、以降の計画の共通言語として採用します。
ベース売上の考え方と簡易算出
ベース売上は、イベントを除いた通常日の平均です。異常値は除外し、平均と併せて中央値も参考にすると過度な偏りを避けられます。必要に応じて平日と土日祝を分けると、曜日の壁を越えてぶれを抑えられます。直近の傾向に前年同月の季節感を足すと、現状と季節性の両方を反映できます。ここでの主要語は平均・中央値・曜日補正です。
各回の係数計算とばらつきの扱い
イベント係数は「イベント日の売上 ÷ ベース売上」で求めます。期間内の初日・中日・最終日に分けて係数を出すと波形が見え、山と谷の配分を読みやすくなるのが効果的です。複数回の係数から平均値を標準ケース、平均より高いケースを楽観、低いケースを悲観として幅を持たせます。ばらつきは、標準偏差相当の幅をひとつの目安にすると実務で扱いやすいでしょう。
スプレッドシートでの実装イメージ
メインのシートに「日付・売上・イベントフラグ・曜日フラグ・ベース売上・係数」を配置し、別シートに「イベント種別×日区分」の平均係数とばらつきをまとめます。係数と実績をグラフで重ねると、ズレの状況が直感的に把握できます。数式は難しくせず、平均・IF・参照で十分です。
売上シナリオの作り方

係数が出たら、判断材料として標準・楽観・悲観の3つのシナリオを用意します。在庫は悲観でも欠品しない設計、広告は標準で開始して手応えで上げ下げという運用ルールが、リスクに強いです。ここで大事なのは、目標と制約(出荷能力・キャッシュ)を明示することです。
標準・楽観・悲観の設計基準
標準は過去の平均係数、楽観は平均より一段上、悲観は一段下を使います。シンプルに定義しておくと関係者の認識差が減ります。加えて、新商品の伸びしろや、レビュー獲得などの定性的な上振れ要因も注記しておくと、数値に出ない影響の見落としを防げるでしょう。
各シナリオの売上算出式
日別の予測売上は「ベース売上 × 係数」です。イベント期間合計はその日別予測の合計で算出し、広告の押し上げを考慮する場合は「予測売上 ×(1+押し上げ率)」を乗せます。式をドキュメント化して共有すると現場の判断が速くなります。主要語は、ベース売上・係数・押し上げ率です。
シート構成のおすすめ
「データ(実績・フラグ)」「係数(イベント種別×日区分)」「シナリオ(3本の線と差分)」の3シートで運用します。3本線を重ねるグラフを用意すると、逸脱の状況を即時に把握できます。数式や定義はセル注釈で残し、属人化の壁を下げましょう。
在庫発注と広告予算の簡易シミュレーション

売上の見通しが立ったら、在庫と広告に落とし込みます。ここでの注意点は、在庫は「金額」ではなく必ず「個数(SKU単位)」で計算することです。単価変動の影響を受けず、正確な発注が可能になります。在庫がなければ広告の効率は下がり、広告が弱ければ在庫が滞留します。
発注数量と安全在庫ルール(重要)
必要な在庫数は「予測売上÷平均単価」ではなく、「主力商品の過去イベント販売個数 × 係数」で算出します。
安全在庫は供給の不確実性に応じて上乗せします。一般品なら必要数量の約2割、入荷が不安定なら3割を目安に設定します。「売れるはずだったのに物がなくて機会損失」を防ぐため、Aランク商品(主力)だけは必ず個数ベースで積み上げ計算を行ってください。
広告予算の基本モデルと効率の見積もり
広告はRPP(検索連動型広告)などの運用型が主流のため、「枠を買う」だけでなく「日次予算の上限管理」が重要です。
一般的な目安として、予測売上の5〜10%を広告予算に置きますが、ROAS(費用対効果)目標を決めておき、効果が良い場合は予算上限を緩和できるルールにしておくと、売れる時に踏み込んで売上を最大化できます。初日と最終日(0のつく日など)に予算を厚く配分するのがセオリーです。
当日のモニタリングと事後検証
当日は「売上進捗」「在庫推移」「広告ROAS」を中心に確認します。標準線からの乖離が大きければクーポンを微調整し、在庫が危うければ予約販売への切り替えや入荷の前倒し、広告の効率が鈍ければ入札単価を切り替えます。終了後は実績と予測の差分を整理し係数を更新、次回の精度を底上げしましょう。ここでの主要語は、売上・在庫・広告効率です。
実務のコツとして、直近複数年をベースに季節性を取り込み、異常日は除外し、曜日フラグで週次の癖を補正します。初回は標準シナリオで小さく始めてから、イベント直後に係数を更新し、学びを積み上げると効果的です。小さく検証・早く更新が伸びしろを広げます。
まとめ
本ガイドは、必要データの集め方、イベント係数の出し方、標準・楽観・悲観のシナリオ設計、そして最も重要な「個数ベース」での在庫発注と運用型広告予算の考え方までを解説しました。数字をもとにシナリオを用意すれば、発注の過不足や広告の出し過ぎという落とし穴を避けやすいはずです。
次のイベントでは、売上・流入・広告効率を定期的に見ながら必要な打ち手をその場で調整し、終了後に係数モデルを更新してください。小さく確実に改善を重ねることで、再現性のある運用が形になります。
<ご注意>本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。楽天の仕様・ガイドライン・ルール等は予告なく変更される場合があります。最新情報は必ず公式サイトおよびRMS(楽天市場出店者様向け管理画面)の各種お知らせ・ヘルプをご確認ください。
