楽天市場での販促において、最も即効性が高く、お客様にとっても魅力的な施策の一つが「クーポン(RaCoupon)」です。しかし、いざ発行しようとRMSを開くと、「設定項目が多くてどこを触ればいいか分からない」「設定を間違えて、想定外の安売りをしてしまったらどうしよう」と不安になり、手を止めてしまう店舗様も少なくありません。
クーポンは、単なる値引きツールではありません。新規顧客の背中を押す「購入のきっかけ」であり、客単価を引き上げる「アップセル」の武器でもあります。この強力なツールを使いこなすには、正しい設定手順と、リスクを回避するチェックポイントを知っておくことが不可欠です。
この記事では、RMS(店舗運営システム)の操作手順に沿って、プロモーションコード(クーポン)の作成方法を、ステップ形式で解説します。
RMSを開く前の「3分間準備」

多くのミスは、画面を開いてから「どうしようかな」と考えながら入力することで発生します。RMSにログインする前に、必ず以下の4つの要素をメモに書き出し、設計図を作ってください。この準備があるだけで、作業時間は半分以下になり、設定ミスのリスクは激減します。
① 誰に配るか(公開範囲)
クーポンの配布方法は大きく分けて2種類あります。ここが決まらないと、RMSでの設定項目(パスワード設定など)が変わってきます。
- 公開クーポン: 検索結果や商品ページに自動で表示されます。誰でも獲得できるため、スーパーSALEやお買い物マラソンでの「新規獲得」に向いています。
- 非公開クーポン(クローズド): 特定のお客様だけに配ります。メルマガ読者、LINE友だち、SNSフォロワー限定など、ロイヤリティを高めたい場合に有効です。
② 何を対象にするか(適用範囲)
「店舗内の全商品」で使えるのか、季節外れの在庫処分として「特定の商品」だけで使えるようにするのかを決めます。全商品対象は設定が楽ですが、利益率の低い商品が含まれる場合は注意が必要です。
③ いくら引くか(割引条件)
「定額(円引き)」か「定率(%引き)」かを決めます。初心者に強くおすすめするのは「定額値引き」です。計算が簡単で、高額商品が売れた際の値引き額も固定されるため、利益計算が狂いにくいからです。「%引き」を行う場合は、必ず「割引上限金額」の設定を検討しましょう。
④ 条件はどうするか(最低購入金額)
ただ安くするのではなく、「あと1品」を買ってもらうための条件をつけます。自店舗の「平均客単価」を確認し、それより「プラス500円〜1,000円」高い金額を最低購入金額(利用条件)に設定するのがセオリーです。
RMSでの作成手順・完全ガイド

準備ができたら、実際に作成していきます。楽天のクーポン機能は「RaCoupon(ラ・クーポン)」という名称で管理されています。RMSメインメニューの「店舗設定」>「クーポン設定」>「クーポン新規登録」から進みます。
STEP1:クーポン名と管理用名称の設定
まず、クーポンの「名前」を決めます。ここには2種類の名称入力欄があります。
- 管理用名称: 店舗側だけが見る名前です。後で効果測定をする際に分かりやすいよう、「開催時期_目的_内容」で統一することをおすすめします。(例:12月SS_新規獲得用_全品300円OFF)
- クーポン名(重要): お客様のマイページや獲得画面に表示される名前です。「クリックしたくなる名前」をつけるのが鉄則です。単に「300円クーポン」とするのではなく、「【期間限定】店内全品対象★3,000円以上で使える300円OFFクーポン」のように、条件とメリットを一目で伝わるように記述しましょう。
STEP2:利用期間と公開設定
クーポンの有効期間を設定します。イベント合わせの場合は、イベント開始・終了時刻と正確に合わせます。
公開・非公開の設定もここで行います。「非公開」を選ぶと、クーポン獲得用URLを知っている人しかページにアクセスできなくなります(パスワード設定も可能です)。メルマガ限定などの場合は「非公開」を、広く集客したい場合は「公開」を選択してください。
※ヒント:クーポンの「表示開始日時」は、有効期間開始の数日前から設定可能です。事前にお客様にクーポンを獲得してもらい、お気に入り登録を促す「事前告知」を行う場合は、表示開始を早めに設定しましょう。
STEP3:割引ルールと利用条件(最重要!)
ここが設定の心臓部であり、最も慎重に入力すべき箇所です。一つのミスが利益を大きく損なう可能性があります。
| 項目 | 設定のポイントと注意点 |
|---|---|
| 割引設定 | 「定額(円)」または「定率(%)」を選択します。定率を選ぶ場合、例えば10%OFFで10万円の商品が売れると1万円の値引きになります。予算オーバーを防ぐため、必要に応じて割引上限を設定してください。 |
| 利用条件 | 「1注文あたりの最低お買い物金額」を設定します。ここを「なし」にすると、300円の商品に300円クーポンが使えてしまい、売上がゼロになる事故が起きます。必ず「〇〇円以上から利用可能」と設定しましょう。 |
| 併用設定 | 他のクーポンと同時に使えるかを設定します。基本的には「併用不可」を推奨します。楽天主催のクーポンと店舗発行クーポンが重なると、意図しない二重値引きが発生するリスクがあるためです。 |
STEP4:発行枚数と利用回数制限
予算管理のための「ブレーキ」を設定します。ここを曖昧にすると、予算が尽きてもクーポンが使われ続けてしまいます。
- 総発行枚数: クーポン全体の予算上限です。(例:予算3万円で300円クーポンなら、先着100枚)。「先着〇〇名様限定」という煽り文句にも使えるため、必ず設定します。
- 1人あたりの利用回数: ここには必ず「1回」と入力してください。空欄(無制限)にすると、同じお客様が何度でもクーポンを使えてしまいます。「お一人様1回限り」とするのが一般的です。
STEP5:対象商品の指定
最後に、クーポンが使える商品を決めます。
- 全商品: 店舗内のすべての商品が対象になります。設定は簡単ですが、予約商品や極端に利益率の低い商品がある場合は注意が必要です。
- 商品指定: 特定の商品(管理番号)のみを指定します。在庫処分セールや、特定カテゴリの販促を行う場合はこちらを選びます。CSVでの一括登録や、コントロールカラム(商品管理番号)を使った検索登録が可能です。
発行後に必ず行う「露出」と「確認」

RMSでの設定完了ボタンを押しても、まだ終わりではありません。クーポンは「作っただけ」ではお客様に気づかれないからです。お客様の手に届けるための「露出作業」が必要です。
クーポン獲得URLの取得とバナー設置
クーポン発行完了画面、またはクーポン一覧画面から「クーポン獲得URL」をコピーします。このURLをクリックすると、お客様はクーポンを獲得できます。
次に、店舗のトップページや商品ページ、スマートフォンの共通バナーエリアなどに「クーポン配布中!」と書かれたバナー画像を設置し、コピーしたURLをリンク先として設定します。「バナー画像を見る→クリックする→獲得画面に行く」という導線を作って初めて、クーポンは機能します。
スマホの商品ページへの設置(重要)
現在、楽天市場の流通の多くはスマートフォン経由です。RMSの「スマートフォン用商品ページ説明文」や「共通説明文(大)」などを活用し、目立つ位置にクーポンの案内とリンクを設置しましょう。お買い物マラソン期間中は、商品ページの買い物かご周りに設置すると、カゴ落ち防止に高い効果を発揮します。
LINEやSNS、メルマガでの拡散
獲得URLは、楽天市場外でも有効です。店舗の公式LINEアカウントやInstagramのストーリーズ、X(旧Twitter)などで「楽天で使える限定クーポン配布中!」とURLを投稿すれば、外部からの強力な流入施策になります。メルマガ読者には、件名に「クーポン」の文字を入れて配信しましょう。
ミスを防ぐための最終チェックリスト

公開してからミスに気づくと、クーポンの停止やお詫び対応に追われることになります。公開ボタンを押す前、あるいはバナーを設置する前に、以下の4点だけは必ず「指差し確認」を行ってください。
- 金額の桁数は合っていますか?
- 「定額(円)」と「定率(%)」の間違いはありませんか?
- 利用条件(最低購入金額)は設定されていますか?
- 1人あたりの利用回数は「1回」になっていますか?
運用中の確認と停止方法
クーポン期間中は、RMSの「データ分析」>「クーポン分析」から、獲得枚数や利用枚数を確認できます。もし設定ミスに気づいたり、想定以上に利用されすぎて予算を超えそうになったりした場合は、「クーポン設定」画面から「中止」または「獲得停止」を行うことができます。
- 獲得停止: 新たにクーポンを獲得できなくなりますが、既に獲得した人は使えます。
- 中止: 獲得済みのお客様も含め、一切使えなくなります(お客様への丁寧な説明が必要です)。
万が一の際は、迷わずこれらの機能を使って被害を最小限に抑えてください。
「サンキュークーポン」との区別
今回紹介した手動発行クーポンとは別に、購入者に自動で次回クーポンを配る『サンキュークーポン』機能もあります。新規獲得はこの記事の手順で、リピート対策はサンキュークーポンで、と使い分けると効率的です」
まとめ
楽天のプロモーションコード(ラ・クーポン)は、以下の4ステップを確実に踏めば、誰でも安全に発行できます。
- 準備: ターゲット・割引額・条件をメモに書き出す
- 作成: RMSで条件を入力し、特に「利用制限」と「併用不可」を厳守する
- 露出: 獲得URLをバナーやメルマガに貼り付けてお客様を誘導する
- 確認: 公開前に桁数や条件を最終チェックする
最初は「全商品対象・300円OFF・先着100名」といった、リスクの少ないシンプルな条件で作成し、一連の流れを体験してみてください。一度流れを掴んでしまえば、次は「リピーター限定」や「商品限定」など、より戦略的なクーポンを数分で作れるようになります。まずは次回のイベントに向けて、最初の一枚を発行してみましょう。
<ご注意>本記事は執筆時点のRMS仕様に基づいています。画面のデザインや項目名、機能の詳細は変更される場合があります。最新の操作方法は、必ずRMS内の店舗運営Naviをご確認ください。
