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在庫過多も売り逃しもなくす!楽天仕入れ計画の作成方法と利益を守る数式設定

楽天のセールに合わせて「仕入れすぎて支払いがきつい」「売上はあるのに手元に現金が残らない」という資金繰りの悩みを持っていませんか。店舗運営には、需要予測だけでなく、仕入れ予算リードタイムを組み合わせた計画が欠かせません。

楽天出店に合わせて在庫と資金を安定運用するには、売上予測に基づく発注ルールと、予算を管理できるExcel設計が必要です。本記事では準備 → 予算設定 → 実行 → 確認の順で、少人数体制で導入できる具体的な手順を示します。

次の楽天セールに向けて、無理なく売れて、しっかり利益が残る仕入れ計画を一緒に作っていきましょう。

在庫と予算の準備 基礎データとKPI整理

まず土台を整えます。判断の軸はSKUに一本化し、RMSとExcelのキー不一致という見落としの多い落とし穴を最初にふさぎます。RMSのシステム連携用SKU番号を第一キーに固定し、CSV取り込みには不一致検出のチェック列を用意しておくと運用の見通しがよくなります。

次に、判断に必要な8点セットを1ファイルに集約します。商品コード(SKU番号)仕入先仕入単価最小ロットリードタイム過去販売在庫数、そして粗利率です。ここが揃えば、「いくつ買うか」と「いくら使えるか」の意思決定が一気に軽くなります。

  1. 商品コード・SKU
    RMSのシステム連携用SKU番号をそのままキーに。サイズや色違いもSKU単位で管理します。
  2. 仕入先・支払い条件
    締め日・支払日を記録。楽天からの入金サイクルとのズレ(キャッシュフロー)を把握します。
  3. 単価と最小ロット
    原価だけでなく、送料や関税を含んだ「着地原価」で記録すると利益計算が正確になります。
  4. リードタイム
    平均・最短・最長を分けて記録。資金拘束期間の目安にもなります。
  5. 過去販売
    可能なら日次、難しければ週平均。RMS実績CSVを活用。
  6. 在庫内訳
    現在庫・引当・入荷予定を分け、不良在庫金額も把握します。
  7. 粗利率
    販売価格から(原価+楽天手数料+送料)を引いた利益率。利益が出にくい商品は発注抑制の対象です。

KPIの設定(仕入れ予算枠、在庫回転率、カバー日数)

最も重要なのは仕入れ予算枠の設定です。月間の売上目標に対して「仕入原価率」を掛け、そこから現在の在庫金額を差し引いた額が、その月に使える仕入れ予算(Open-to-Buy)です。
また、カバー日数は「LT+3〜5日」を初期値にしつつ、資金繰りが厳しい場合は回転の速い商品を優先し、回転の遅い商品はカバー日数を削る調整を行います。

売上予測の作り方 ベース予測とイベント補正

ベース予測の作成方法(移動平均、同月比、カテゴリや競合情報の活用)

通常期は移動平均で足場を作り、季節性があるSKUは前年同月比で微調整、直近の傾向はExcelのTRENDでなぞる、という三段構えが実務的です。新商品はカテゴリの類似品から初期日販を仮置きすると立ち上がりの見通しが立ちます。

予測は完璧でなくてOK。大切なのは更新の速さです。週次で差分を見て、数字より早く動く現場の気配(レビュー、露出、価格競合)をメモに残し、次の発注に反映します。

楽天セール時の増加率設定と補正方法

セール予測は「通常予測×増加率」。クーポン、ポイント、広告枠の強さで倍率を段階的に補正し、露出が弱い場合は控えめに、特集枠が取れている場合は強めに。ただし、売上が伸びても広告費やポイント負担で利益が残らなければ意味がありません。利益シミュレーションとセットで予測を立てましょう。

発注ルールの設計 数量計算と予算調整

1. 必要数量の算出(安全在庫と発注点)

まずは数量ベースで計算します。平均日販(AD)、カバー日数発注点(ROP)を基本に組みます。AD=過去n日販売÷n、カバー日数=LT平均+安全日数、ROP=AD×LT+AD×安全日数。セール時はADか安全日数を上乗せし、先手で不足を防ぐ運用に切り替えます。

2. 予算との突き合わせ(発注額のコントロール)

ここが重要です。算出した「必要発注量 × 原価」を合計し、事前に決めた仕入れ予算枠に収まるか確認します。予算オーバーの場合は、以下の優先順位で調整します。

  1. 高回転・高利益品:満額発注(最優先)。
  2. セール目玉品:集客用として確保(ただし赤字幅に注意)。
  3. 低回転品・低利益品:今回発注を見送る、または発注量を半分にする。

「売れるから買う」ではなく「支払える範囲で、最も利益になるものを買う」というルールを徹底することで、資金ショートを防げます。

3. 発注量の決め方と最小ロット対応

丸めはコストと欠品リスクのバランスです。最小ロットの倍数で切り上げつつ、出荷ピーク日を含む期間の需要山に合わせて一段足すかを判断。資金負担を平準化するため、一度に大量発注せず、納期を分ける「分納」交渉も有効な手段です。

Excelでの実装とセール時の補充計画

シート構成と必須列の設計(金額管理の追加)

Excelは「マスタ/実績/予測/発注管理」の4枚で十分。キーはSKUで統一し、従来の在庫管理項目に「金額」の列を足します。

  • 必須の列:商品コード(SKU番号)、商品名、仕入先、単価、最小ロット、LT、平均日販、現在庫、ROP、必要発注量
  • 追加すべき金銭列:発注金額小計(単価×必要量)、粗利額(単価×利益率×必要量)、予算消化率

発注リストの合計金額が常に表示されるようにし、予算オーバーが一目でわかるようにします。

セール前準備とキャッシュフロー対策

セール準備は「前倒し・分割・代替」で組みます。特に輸入品などLTが長い先は、発注から入金までのタイムラグ(資金拘束)が長くなりがちです。楽天の入金サイクル(月2回など)を考慮し、カード決済の締め日を活用して支払いを先延ばしにするなど、現金の動きも計画に組み込みましょう。

運用と定期確認で精度を上げる

日次・週次の確認項目とアラート対応

日次は「ROP到達SKUの抽出」に加え、「直近の売上に対する在庫消化金額」を見ます。週次は「予定通り売れて現金化できているか」を確認します。在庫はお金が形を変えたものです。滞留在庫は現金の流れを止める血栓のようなものなので、早期にセールで現金化する判断を行います。

月次レビューでの評価指標(利益額と在庫回転)

月次は「予測精度」「欠品数」に加え、「在庫回転率(金額ベース)」「仕入れ予算比の着地」を評価します。利益が出ていても現金が減っている場合は、在庫を持ちすぎているサインです。安全係数を下げて在庫を圧縮し、手元資金を厚くする調整を行います。

まとめ

楽天仕入れ計画のゴールは、「在庫を積むこと」ではなく「利益とキャッシュを最大化すること」です。まずはSKUを軸に基礎データを集約し、需要予測に基づく必要数量を算出。そこで止めずに、必ず仕入れ予算枠と照らし合わせ、優先順位をつけて発注量を調整してください。

Excelに「発注金額」の列を一つ足すだけで、その発注が経営に与えるインパクトが見えるようになります。LT管理と予算管理を両輪で回し、次のセールでは「売り逃しなし・過剰在庫なし・資金繰りよし」の三方よしを実現しましょう。

<ご注意>本記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。楽天の仕様・システム・イベント内容等は予告なく変更される場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトやRMSの告知等をご確認ください。

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