Amazonで出品をはじめると、多くの人は「大口出品」と「小口出品」という2つの選択肢に迷うでしょう。最初に大口出品を選んでも、事業規模の変更や販売戦略の見直しによって、小口出品への切り替えを検討する場合も少なくありません。
この記事では、大口と小口の違いや変更手続きの方法、注意点までくわしく解説していきます。
Amazonの大口と小口の違い
まずは大口出品と小口出品の、プラン内容の違いを改めて確認しておきましょう。
項目 | 大口出品 | 小口出品 |
---|---|---|
基本手数料(税抜) | 月額登録料 4,900円 | 基本成約料 100円(商品1個につき発生) |
毎月の費用 | 月額登録料 + 商品ごとの販売手数料 | 基本成約料 + 商品ごとの販売手数料 |
1ヶ月に販売できる商品数 | 50点以上 | 49点まで |
カタログに新商品を追加できる | ◯ | ◯ |
決済方法 | クレジットカードAmazonギフト券Amazonショッピングカード請求書払い携帯キャリア決済コンビニ決済代金引換Edy払い | クレジットカードAmazonギフト券Amazonショッピングカード請求書払い携帯キャリア決済 |
入金サイクル | クレジットカードを登録してから14日周期 | 振込申請を行ってから入金 |
FBAの利用 | ◯ | ◯ |
独自の配送料金の設定 | ◯ | × |
ショッピングカードボックスの利用資格 | ◯ | × |
一括出品 | ◯ | × |
販売促進機能(広告やタイムセール等) | ◯ | × |
レポートを活用した注文管理 | ◯ | × |
マーケティング機能 | ◯ | × |
テクニカルサポートの電話・チャット機能 | ◯ | × |
大口出品は大量出品ができ、多くの便利な機能を活用できます。小口出品は利用可能な機能は限られますが、小規模な販売を行いたい企業にとって最適です。
毎月の売上金額や販売手数料などによっては、大口から小口に変更したほうがコスト削減につながる場合もあるでしょう。
Amazonの大口出品と小口出品の違いは、以下の記事が参考になります。

Amazonで大口から小口出品に変更する方法
大口出品から小口出品に変更するには、以下の手順を行う必要があります。
- 設定から「出品用アカウント情報」を選択
- 画面左上にある「ご利用のサービス」から「サービスの管理」を選択
- 青字で記載されている「小口出品に変更」を選択
以上で大口出品から小口出品への切り替えは完了です。本当に変更されたのか不安な方は、もう一度「出品用アカウント情報」にアクセスしてみましょう。
Amazon出品サービスに「次回決済日から小口出品」と記載があれば、切り替えが成功しています。
Amazonで大口から小口に変更した際の必要な手続き
Amazonでの大口出品から小口出品への変更手順は簡単ですが、その後に以下3つの手続きをふむ必要があります。
- 返送手続きを行う(FBAを利用している場合)
- 返品やキャンセル依頼がないか確認
- 支払いサイクルを確認しておく
小口出品に切り替える前に確認しておきましょう。
①返送手続きを行う(FBAを利用している場合)
FBAを利用している場合は、Amazonの倉庫に保管されている在庫の返送または所有権の放棄依頼の手続きが必要です。在庫を放置したままだと保管手数料が発生してしまうので、以下の手順で手続きを済ませましょう。
ここで注意していただきたいのが、返送または所有権の放棄は、1つの商品につき、サイズと重量に応じた手数料がかかることです。手数料は以下のとおりです。
サイズ | 重量 | 手数料(1点あたり) |
---|---|---|
小型・標準 | 0〜200g | 30円 |
201〜500g | 45円 | |
501〜1,000g | 30円 | |
1,001g〜 | 100円 + 1,000gを超えるたびに40円 | |
大型・特大型 | 0〜500g | 80円 |
501〜1,000g | 110円 | |
1,001〜2,000g | 140円 | |
2,001〜5,000g | 200円 | |
5,001g | 350円 + 5,000gを超えるたびに40円 |
(手数料には10%の消費税が含まれます)
返送または所有権の放棄の対応は、10〜14営業日ほどで完了します。ただし、セール中などで運営側が繁忙期の場合、1ヶ月以上かかることも。余裕を持って手続きを進めるのがおすすめです。
②返品やキャンセル依頼がないか確認する
大口出品から小口出品に切り替えている最中に、未使用品の返品やキャンセルが発生してしまう可能性があります。せっかくFBA在庫をゼロにしていたのに、増えてしまう恐れがあるのです。
そのような場合は保管手数料がかかってしまうため、もう一度返送または放棄依頼手続きを行わなければなりません。
最低でも、Amazonマーケットプレイス保証の期間である90日間は在庫が復活していないかを確認しましょう。毎日確認する必要はありませんが、週に1度はチェックするのがおすすめです。
③支払いサイクルを確認しておく
大口出品と小口出品では入金サイクルが異なります。大口出品は14日ごとの支払いですが、小口出品は売上の振込申請をするたびに入金されます。
Amazonの運営に影響が出ないように確認しておきましょう。
Amazonで小口出品に変更した際の注意点
Amazonで大口出品から小口出品に切り替えると、以下のような注意点が発生します。
- 取扱不可のカテゴリーがある
- 決済方法の幅がせまくなる
- 便利なツールが使用できなくなる
事前に把握しておきましょう。
取扱不可のカテゴリーがある
小口出品では、以下のカテゴリーに該当する商品を販売することができません。
- 時計
- 服&ファッション小物
- シューズ&バッグ
- ジュエリー
- ヘルス&ビューティー
- コスメ
- 食品&飲料
- ペット用品
- CD、レコード
- TVゲーム
上記以外にも、特定のブランドやメーカー品なども販売が制限されています。商品構成の見直しが必要になることもあるため、現在販売している商品が小口出品で取り扱い可能かどうか、事前によく確認しておきましょう。
確認する際は、Amazonの公式ガイドラインを熟読し、不明点があればサポートに相談することをおすすめします。
決済方法の幅がせまくなる
大口出品ではさまざまな決済手段が提供されるのに対し、小口出品では利用できる決済方法が限られます。小口出品は、大口出品で使えていたコンビニ決済や代金引換決済などが使えなくなり、クレジットカード決済が中心となります。
これにより、一部の顧客にとっては不便に感じられ、購入をためらう原因となることがあります。特に高額商品を取り扱う場合、支払い手段の選択肢が限られると顧客の信頼を損なう可能性があるため、ビジネスに与える影響を事前にシミュレーションしておくことが求められます。
便利なツールが使用できなくなる
大口出品では、在庫管理や販売促進に役立つさまざまなツールを利用できますが、小口出品ではこれらのツールを利用できなくなります。そのため、売上データの詳細分析が難しくなり、効果的なプロモーションが実施できない場合があります。
また、APIを活用した在庫管理や価格の自動調整といった機能も使えなくなるため、手動での作業が増える可能性があります。
そのため、運用に割く時間が増えたり、ヒューマンエラーのリスクが高まる点にも注意が必要です。ツールが使えなくなるデメリットを補うためには、作業を外注するか弊社のような運営代行会社を活用するなどして、効率化のための新たな仕組みを導入することが必要です。
Amazonで大口から小口出品の変更でよくある質問
Amazonの大口から小口に切り替えることに関するよくある質問をまとめました。
- Amazonは大口から小口への変更手続きをキャンセルできる?
- 大口から小口に変更すれば月額登録料は返金される?
上記の項目を事前にチェックし、スムーズに小口に切り替えられるようにしておきましょう。
Amazonは大口から小口への変更手続きをキャンセルできる?
切り替えの手続きが完了する前に「やっぱり、もう少し大口出品を続けようかな…」と考える方も少なくありません。そのような場合は、以下の手順を行うとキャンセルできます。
- 設定から「出品用アカウント情報」を選択
- ご利用のサービスから「サービスの管理」を選択
- 青字で記載された「小口出品への変更をキャンセルする」を選択
- 「保留中の登録内容変更をキャンセルする」を選択
上記の手順でキャンセルの手続きは完了します。ただし、FBAの在庫返送などのすでに対応してしまった作業については個別に対応が必要になるでしょう。
大口から小口に変更すれば月額登録料は返金される?
大口出品から小口出品への変更は、1回限りで返金を受けられます。ただし、以下の条件を満たしておく必要があるので注意してください。
- 過去に大口出品の月間登録料の返金請求を行っていない
- 大口出品の販売手数料の支払日から90日以内
- 大口出品のツールや特典を利用していない
上記の条件を満たしている方は、サポートで問い合わせてみましょう。最大で3ヶ月分の月間登録料が返金される可能性があります。
ただし、返金の処理はその時によってかかる期間が異なります。数日で返金される場合や2~3週間ほどかかる場合があることを把握しておきましょう。
まとめ
Amazonで大口出品から小口出品に変更する際は、プラン内容がどのように変わるかを事前に把握しておきましょう。取扱不可のカテゴリーや決済方法の制限、便利なツールの使用不可といった要因が、運用や売上に影響を与える可能性があります。
そのため、現在販売している商品が小口出品に適しているか、自身のビジネスモデルに合った選択ができているかを確認することが大切です。大口出品と小口出品の違いをしっかりと理解し、安定した成果を目指しましょう。