楽天市場・ヤフーショッピング・amazonは、いずれも国内で代表的なECモールです。
これからネットショップの出店を検討する際、どこに出店するべきか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、楽天市場・ヤフーショッピング・amazonの出店手数料やサポート体制などを比較して、それぞれの特徴についてまとめています。
各ECモールが持つ強みを紹介していますので、ぜひネットショップに出店する際の参考にしてみてください。
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonの出店形式を比較
自分でゼロからネットショップを開設する「自社型」に対して、楽天市場・ヤフーショッピング
amazonのようなネットショップは「モール型」と呼ばれます。
モール型とは、1つのECサイト上に多数の店舗が集まって出店する形式のことです。
さらに、モール型の出店形式は「テナント型」と「マーケットプレイス型」という2種類に分けられます。
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonを、テナント型とマーケットプレイス型に分類すると、それぞれ以下の通りです。
- 楽天市場とヤフーショッピングはテナント型
- amazonはマーケットプレイス型
ここからは、テナント型とマーケットプレイス型の分類について、詳しく見ていきましょう。
楽天市場とヤフーショッピングはテナント型
楽天市場とヤフーショッピングの出店形式は「テナント型」と呼ばれます。
テナント型とは、大型ショッピングモールに各自の店舗を出店して商品を販売する形式です。
各店舗が独自に運営を行うため自由度が高く、店舗ごとに特色を出しやすいという特徴があります。
amazonはマーケットプレイス型
amazonの出店形式は「マーケットプレイス型」と呼ばれます。
マーケットプレイス型は、大型ショッピングモールなどへの店舗出店は行わず、商品のみを出品する形式です。
ショップページのデザインを考慮する必要がないため、より手軽に商品の販売を始められます。
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonのユーザー数や売上高を比較
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonにおける以下の3つを比較します。
- ユーザー数
- 出店数
- 売上高(流通金額)
上記3つの視点から、それぞれの業績や市場規模を確認していきましょう。
ユーザー数
世界最大級のマーケティングリサーチ会社であるニールセンデジタル株式会社が、ECモールの利用状況について発表しています。
ニールセンデジタル株式会社の調査による、楽天市場・ヤフーショッピング・amazonの利用者数は以下の通りです(2021年12月時点)。
- 楽天市場:5,104万人
- ヤフーショッピング:2,288万人
- amazon:4,729万人
参考:Monthly Totalレポートによるオンラインモールのサービス利用状況|ニールセン デジタル株式会社
ニールセンデジタル株式会社の調査結果で最も利用者数が多いECモールは楽天市場でした。
楽天は、2023年6月時点で1億以上の会員数を誇っており、圧倒的な集客力を強みとしています。
出店数
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonの出店数は以下の通りです。
- 楽天市場:約5万7,000店舗(2023年6月時点)
- ヤフーショッピング:約120万店舗(2021年12月時点)
- amazon:約17万8,000店舗(2015年6月末時点)
参考:ネットショップ開業の基礎知識とECサイト比較|楽天市場出店
それぞれの出店数を比較してみると、ヤフーショッピングへの出店数が圧倒的に多いことがわかります。
これは、ヤフーショッピングが2013年10月より実施した、月額システム利用料と売上ロイヤリティの完全無料化が要因だと考えられます。
気軽に出店する事業者や、商品ジャンルごとに複数の店舗を展開する事業者が増えたことで、ヤフーショッピングへの出店数が大幅に増加しました。なお、amazonの出店数は、2016年以降公表されていません。
売上高(流通金額)
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonの売上高(流通金額)は以下の通りです。
- 楽天市場:約5.6兆円(2022年年間国内EC流通総額)
- ヤフーショッピング:約1.7兆円(2022年流通総額)
- amazon:約3.2兆円(2022年日本事業の売上高)
Amazonの流通総額は公表されていませんが、6兆円程度に達しているのではないかと推測されています。
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonは、いずれも市場規模が拡大し続けており、さらなる成長が期待されているECモールです。
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonの出店手数料を比較
ECモールに出店する際は、初期費用や月額利用料といった、さまざまな費用が必要です。
ここでは下記の通り、それぞれの出店手数料を比較しています。
- 楽天市場の出店手数料
- ヤフーショッピングの出店手数料
- amazonの出店手数料
上記3つについて、それぞれ見ていきましょう。
楽天市場の出店手数料
楽天市場へ出店する際は、利用するプランを以下の3つの中から選択します。
- がんばれ!プラン
- スタンダードプラン
- メガショッププラン
月額利用料や、登録可能な商品数がプランごとに異なるため、目的に合ったプランを選択しましょう。
それぞれのプランによる主な違いは以下の通りです。
がんばれ!プラン | スタンダードプラン | メガショッププラン | |
月額利用料 | 19,500円 | 50,000円 | 100,000円 |
契約期間 | 1年 | 1年 | 1年 |
登録可能商品数 | 5,000商品まで | 20,000商品まで | 無制限 |
画像容量 | 500MBまで | 5GBまで | 無制限 |
システム手数料 | 月間売上の3.5%~7.0% | 月間売上の2.0%~4.5% | 月間売上の2.0%~4.5% |
また、楽天市場に初めて出店する場合は、上記のいずれのプランを選択した場合でも初期費用として一律60,000円が必要です。
さらに、全プラン共通で、以下のような手数料が発生します。
- 楽天ポイント原資
- モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料
- 楽天スーパーアフィリエイト
- R-Messe利用料
- 楽天ペイ(楽天市場決済)
ヤフーショッピングの出店手数料
ヤフーショッピングは、出店に必要な初期費用がかかりません。
さらに、月額のシステム利用料や、売上ロイヤリティも無料です。
他社と比較してもランニングコストを抑えることが可能な点は、ヤフーショッピングの大きな魅力と言えます。
ただし、完全無料でネットショップの運営ができるわけではありません。
ヤフーショッピングでネットショップの運営を行う際は、手数料として、以下のような費用が発生します。
- ストアポイント原資
- キャンペーン原資
- アフィリエイトパートナー報酬
- アフィリエイト手数料
- ストア決済サービス手数料(決済方法によって異なる)
amazonの出店手数料
amazonへ商品を出品する際は、以下の2つから出品プランを選択します。
- 大口出品
- 小口出品
それぞれのプランによる主な違いは以下の通りです。
大口出品 | 小口出品 | |
月間登録料 | 4,900円 | なし |
基本成約料 | なし | 商品1点ごとに100円 |
販売手数料 | 商品カテゴリーによる(6.5%~15%) | 商品カテゴリーによる(6.5%~15%) |
参照:料金プラン、配送手数料、料金シミュレーター | Amazon出品サービスの料金
月に50点以上の商品を販売する場合は、大口出品の方が安く利用できるためおすすめです。
また、amazonで運営を行う際、大口出品でしか利用できない機能が用意されています。
大口出品プランで利用できる主な機能は以下の通りです。
- 一括出品ツール
- 独自の配送料金を設定
- カートボックスの利用資格
- 広告を活用した販売促進
- 各種レポートの取得
- オリジナル商品の出品
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonの発送方法を比較
ネットショップの運営において、商品の発送方法は非常に重要です。
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonの発送方法には、それぞれ以下のような特徴があります。
- 楽天市場の「楽天スーパーロジスティクス」
- ヤフーショッピングは物流代行サービスを選択
- amazonの「FBA発送」
それぞれの発送方法について、詳しく見ていきましょう。
楽天市場は「楽天スーパーロジスティクス」
楽天スーパーロジスティクスは、楽天市場に出店している店舗向けの物流アウトソーシングサービスです。
自社に代わり、商品の入荷作業・保管・配送までの物流業務を一括して行ってくれます。
物流に関する業務をすべて任せることができるため、自社の商品企画や販売促進といったコア業務に集中することが可能です。
さらに楽天スーパーロジスティクスは、翌日配送が365日可能な「あす楽」を利用できます。
競合サイトと比較して配送スピードを差別化できるという点も大きなメリットです。
ヤフーショッピングは物流代行サービスを選択
ヤフーショッピングには、独自のフルフィルメントサービスがありません。
そのため、受注した商品の梱包や発送については、自社で対応する必要があります。
もし物流業務に手間をかけたくないという場合は、物流代行サービスの利用を検討してみましょう。
ヤフーショッピングでは、出店するネットショップの規模や、販売する商品数などに応じて物流会社を選べます。
物流代行サービスの利用を検討する場合は、料金や稼働日などを考慮したうえで、自社の希望に沿うような適切な物流会社を選びましょう。
amazonは「FBA発送」
FBAとは「フルフィルメント by Amazon」の略で、自社に代わってamazonが物流業務を代行してくれるサービスです。
自社の商品をamazon倉庫に納品することで、受注・梱包・発送・カスタマーサービス・返品対応のすべてをamazonが代行してくれます。
また、FBAを利用した商品は、発送元が「Amazon」と表示されるため、ユーザーからの信頼を得やすい点も大きなメリットです。
商品検索で上位表示されやすくなるなど、高い集客効果も期待できます。
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonのサポート体制を比較
ネットショップを出店する場合は、気軽に問い合わせできる環境があると安心です。
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonのサポート体制は、それぞれ以下のような特徴があります。
- 楽天市場は専任のECコンサルタントがサポート
- ヤフーショッピングはお問い合わせフォームから問い合わせ
- amazonはテクニカルサポートへ問い合わせ
それぞれのサポート体制について、詳しく見ていきましょう。
楽天市場は専任のECコンサルタントがサポート
楽天市場では、ネットショップの出店から運営までをサポートしてくれる専任のECコンサルタントがつきます。
ECコンサルタントは、少しでも早く売上につなげるためのショップページ作りや販売施策など、売上向上に向けたアドバイスをしてくれます。
また、何かトラブルが発生してしまった場合も相談できるため、初めての出店でも安心して運営することが可能です。
ヤフーショッピングはお問い合わせフォームから問い合わせ
ヤフーショッピングには、電話とメールで相談できる問い合わせフォームが設けられています。
ネットショップの出店準備や運営について、ヘルプデスクへの質問が可能です。
また、売上アップのノウハウをまとめたブログも公開されています。
amazonはテクニカルサポートへ問い合わせ
amazonには、「amazonテクニカルサポート」という、出品者用の問い合わせ窓口が設けられています。
amazonテクニカルサポートは、出品に関する疑問や、運営の際に発生したトラブルについて相談できる大変便利な窓口です。
電話・メール・チャットの3つの方法から問い合わせ可能で、メールとチャットについては24時間稼働しています。
出店するECモールの選び方
楽天市場・ヤフーショッピング・amazonにはそれぞれ異なるメリットがあるため、どこに出店するか悩む方も多いのではないでしょうか。
最適な出店先は、ネットショップ運営の目的や、取り扱う商品によって異なります。
ここまで比較してきた特徴を踏まえると、それぞれのECモールは、以下のような方におすすめです。
- 【楽天市場】コストをかけて本格的に運営したい事業者向け
- 【ヤフーショッピング】初めての出店や低コストで運営したい事業者向け
- 【amazon】シンプルで効率的に運営したい事業者向け
上記3つについて、詳しく見ていきましょう。
【楽天市場】コストをかけて本格的に運営したい事業者向け
ある程度のコストをかけて、本格的にネットショップの運営に取り組みたいという方には、楽天市場への出店がおすすめです。
楽天市場は、ヤフーショッピングやamazonと比較して、初期費用やランニングコストが高いというデメリットがあります。
一方で、ショップページの作り込みを自由に行えるため、独自のブランドを発信しやすい点は大きなメリットです。
また、手厚いサポート体制や、高い集客力を備えている楽天市場への出店は、自社のネットショップを成長させる大きなチャンスだと言えるでしょう。
【ヤフーショッピング】初めての出店や低コストで運営したい事業者向け
初めてネットショップの運営を行う方や、リスクを抑えるために低コストで運営を開始したいという方には、ヤフーショッピングへの出店がおすすめです。
ヤフーショッピングの最大のメリットとして、出店に必要な初期費用や月額のシステム利用料が無料という点が挙げられます。
出店したばかりで、まだ売上が発生しない間の月額固定費がかからないため、リスクを抑えた出店が可能です。
【amazon】シンプルで効率的に運営したい事業者向け
シンプルで効率的にネットショップの運営を行いたいという方には、amazonへの出品がおすすめです。
マーケットプレイス型であるamazonでは、ショップページのデザインを気にする必要がありません。
そのため、楽天市場やヤフーショッピングと比較して、少ない手間で商品を出品できます。
また、amazonは流通金額やユーザー数が非常に多いECモールですが、比較的安いコストで運営できる点も大きな魅力です。
まとめ:自社に合ったECモールを選択しよう!
ここまで、楽天市場・ヤフーショッピング・amazonの出店手数料やサポート体制などを比較して、それぞれの特徴についてまとめました。
各ECモールにはそれぞれのメリットがあるため、どこに出店するかによって販売施策が変わることもあります。
運用方法もさまざまですので、自社の商品や目的に合わせた出店先を選びましょう。