ふるさと納税の宣伝方法は?広告宣伝の禁止事項や改正のポイント

「返礼品の写真や“お得”という言葉を前面に出したバナーが使えなくなるらしい…」
「広告費は寄附金の5割以内? うっかり違反するとペナルティがあるって本当?」


ふるさと納税の広告運用は、応援寄付金を集める上で大切な施策ですが、2023年10月と2024年10月の改正でふるさと納税の広告宣伝ルールは大幅に厳格化されました。

今回の記事では、ふるさと納税の広告の規制について解説をしていきます。
広告の改正により「何をやってはいけないか」「代わりに何を打ち出せばいいか」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

目次

ふるさと納税の広告規制最新版(2024年改正)の概要

ふるさと納税は寄附者が応援したい自治体に寄附できる仕組みとして人気を集めていますが、一方で宣伝方法に関しては年々規制が強化されています。

ここでは、ふるさと納税の改正スケジュールや、その内容について解説していきます。

改正スケジュールと施行日

まず2023年10月時点で一部の規制が施行され、返礼品紹介に関する表現や寄附額をかき立てる過度な勧誘が見直されました。

次に、2024年10月の改正では広告宣伝費やクリエイティブの表示基準がさらに厳しくなり、違反が確認された場合には寄附受入れ停止などのペナルティリスクが高まることになります。

改正のタイミングは以下のとおりです。

  • 2023年10月:返礼品表現の規制強化など一部規制が施行
  • 2024年10月:広告宣伝費上限や広告表現ガイドラインの強化

施行日が迫ると直前で慌てて見直しをしがちですが、余裕をもって準備しておくことが理です。

例えば、広告素材の刷新や業務フローの変更には時間がかかる場合も多いため、早めに自治体内や広告代理店とスケジュールをすり合わせるようにしましょう。

禁止される表現とNG事例

最新の規制では、「返礼品の写真を極端に大きく掲載して寄附を煽る表現」「“超お得”“今だけ特価”などの購買欲を刺激する直接的なフレーズ」が禁止対象に含まれます。

具体的なNG事例は次のとおりです。

  • 返礼品の写真や価格訴求を極端に前面に打ち出したバナー広告
  • 「早い者勝ち」「在庫限り」といった商品販売を連想させる打ち出し
  • リスティング広告で「ふるさと納税の費用が実質タダになる」などの誇張表現

このような表現は、ふるさと納税というより商品の宣伝色が強いとみなされがちです。

一方で、「地域の自然豊かな環境で育てた和牛」など、地場産品であることをしっかり伝える表現は問題ありません。
自治体が持つオリジナリティをうまく活かしながら、寄附者に安心感を与える内容に仕立てることがコツです。

地場産品要件と返礼品PRの関係

ふるさと納税の返礼品は、その自治体の地場産品であることが条件とされています。
そのため、単に「割安感」で魅力を訴求するのではなく、地域の伝統や文化、地元の生産者の想いなどをストーリーとしてきちんと伝えることが望ましいです。

例えば農産物なら、土壌や栽培方法生産者の取り組みを紹介することで「ここでしか味わえない特別な体験」を寄附者に感じてもらえます。

地場産品要件を守りつつ、地域のアイデンティティを伝えるPRができれば、禁止表現に抵触するリスクを抑えながら、しっかりと寄附者にアピールできます。

違反するとどうなる?ペナルティとリスク管理

ふるさと納税の宣伝方法を誤ると、自治体だけでなく受託している広告代理店にも大きなリスクが及びます。
違反が発覚した場合、寄附募集の停止だけでなく、自治体間の信頼関係にも悪影響を及ぼし、ブランド価値の低下を招く恐れがあります。

下記の点を把握し、早めに対策しておくことが大切です。

法令違反が発覚するパターン

法令違反が表面化するのは、以下のようなケースが代表的です。

  • 総務省や外部監査機関による広告実態調査
  • 寄附者や他自治体からの通報
  • 広告掲載先(ポータルサイトなど)からの指摘

特にインターネット広告は公衆の目に触れるため、違反事例が拡散しやすい点に注意が必要です。

自治体内での広報や広告代理店を通じた運用でも、必ず第三者の視点を入れるチェック体制を導入しておくと、いち早く問題を発見できます。

是正勧告から寄附停止までのフロー

もし、違反が疑われると、まずは総務省などからの是正勧告が行われることが多いです。
勧告に対して適切に改善措置を講じない場合、ふるさと納税の対象自治体として認められなくなる(寄附を受け付けられなくなる)可能性もあります。

このような事態は、寄附金によって運営される地域事業や住民サービスに大きな影響を及ぼすため、必ず早期に対応する必要があります。
修正作業が発生する際は、スピードだけでなく、再発防止策の徹底も意識しましょう。

再発防止のための内部監査ポイント

再発を防ぐためには、以下のような内部監査ポイントが考えられます。

  • 広告素材を作成する段階で、関係部署や法務担当者がチェックするフローを導入する
  • 定期的に広告掲載内容を見直し、最新の規制に照らして更新が必要か確認する
  • クリエイティブだけでなく、予算配分や掲載実績の分析も含めた総合的な監査体制を整備する

内部監査の担当を明確化し、決裁権限を一本化しておくと、修正が必要になったときにすばやく対応できます。

早期の発見と是正が、自治体や広告運用における信頼性を維持するカギとなります。

広告宣伝で許されるアプローチは?

ふるさと納税の宣伝を行ううえで「返礼品を全面的に強調すること」は規制されつつありますが、地域の魅力や寄附者の体験価値を訴求することは問題ありません。

むしろ、新しい時代のふるさと納税では、地域ブランディングを中心に据えた施策重要視されます。

地域ストーリーを軸にしたブランディング

自治体の歴史や風土、特産物の成り立ちを丁寧に紹介し、寄附者に「地域に貢献している」という実感を持ってもらうことがポイントです。

単に「〇〇牛がもらえる」だけでなく「昔からこの地域で大切に育てられてきた〇〇牛」といったストーリーを添えると、寄附者との心理的な距離が縮まり、結果的に寄附額が伸びやすくなります。

地域の魅力を語る際には、事実関係の裏取りが肝要です。
歴史的背景や文化的特徴を誇張せずに正確な情報を伝えることで、利用者からの信頼度も高まり、継続的な支援を得る土台を作れます。

寄附者体験を可視化するコンテンツマーケティング

地域を訪れた寄附者の声や、生産者インタビュー動画、体験レポート記事などを用いたコンテンツマーケティングも効果的です。

例えば、ふるさと納税で支援を受けた事業者がどのようなプロジェクトを実現したのかを示すことで、寄附者は「自分の寄附が社会を変えた」という満足感を得られます。
その結果、リピーターやクチコミによる広がりが期待でき、宣伝効果を高めることができます。

また、寄附後のストーリーをきちんと可視化することで、これから寄附をしようか迷っている方の背中を押す大きな材料にもなります。

ふるさと納税ポータルサイトの活用最適化

多数の寄附者が集まるポータルサイトは、ふるさと納税を宣伝する重要な場です。
ただし、競合自治体も多いため、表示順位を上げるための工夫が欠かせません。

サイトごとのガイドラインにも注意を払い、過度な表現がないかをチェックしながら、魅力的なページづくりを進めましょう。

掲載順位を上げるデータフィード改善

ポータルサイトでは、返礼品の登録情報や画像のメタデータなどを活用して検索順位を決める仕組みを導入している場合があります。
データ入力に不備があると表示が下位になり、寄附を獲得できるチャンスを逃しかねません。

魅力的なキャッチコピーを適切なキーワードと共に設定し、規制に違反しない範囲での訴求を行いましょう。
掲載する写真や文章はユーザーのイメージを左右するため、できるだけ高品質なビジュアルと読みやすい説明文を用意することをおすすめします。

PDCAを回す指標設計

ポータルサイトでの寄附数や閲覧数をチェックし、定期的に改善を図るサイクルを回すことが重要です。

例えば「返礼品詳細ページの滞在時間」「寄附完了までの離脱率」といった数値を追うことで、どの部分を見直すべきか明確になります。
長期的に分析し、地域ブランディングと合わせて最適化を進めていきましょう。

改善施策を講じたら、一定期間で成果を測定し、次のアクションを検討するという流れを繰り返すことで、安定した集客と寄附獲得が期待できます。

SNS・動画を活かした訴求方法

ふるさと納税の宣伝を強化するには、SNSや動画プラットフォームの活用も欠かせません。
画像や動画で地域の魅力を直感的に伝えられるため、アクセスを集めやすく、若年層の寄附者も増やす可能性があります。

ただし、SNSで短期間に拡散する場合は「過度な返礼品PR」と受け取られやすいリスクもあるため、魅力的なビジュアルを作るときほどガイドライン遵守に気を配りましょう。

短尺動画での地域魅力発信

近年は短い動画フォーマットが主流化しつつあり、地域の風景や名産の調理過程をサクッと見せるだけでも大きな反響を得られます。
動画の最初の数秒で視聴者の興味を引く構成にし、地域ならではの風土や人柄を感じられる内容にすると、拡散力と訴求力が高まります。

動画説明欄にも「自治体が目指す取り組み」や「寄附が支えるプロジェクト内容」を書き添えることで、ふるさと納税ならではの共感を得やすくなります。

X・Instagram運用のコツ

テキスト中心のX(旧Twitter)や画像中心のInstagramでは、それぞれの特徴を活かした運用を意識しましょう。

Xでは自治体の最新情報やイベント告知をタイムリーに発信し、Instagramでは返礼品の背景にあるストーリーや、美しい風景写真と組み合わせた投稿で魅力を伝えます。
いずれも「過度に返礼品を全面押ししない」ことが大前提です。

投稿をする際は、ハッシュタグや位置情報を活用してターゲット層に届ける工夫を施し、ユーザーとのコメント・メッセージのやり取りも丁寧に行うと、リピーターやファンを増やすきっかけになります。

生成AIで効率化するクリエイティブ制作

近年登場した生成AIを活用すると、コピー案やデザインのアイデア出しを効率化できます。
特に地域の写真やイラストを組み合わせたいときにも、AIツールが大いに役立ちます。

ただし、自動生成されたコピーがガイドラインに反していないか、最後に必ず人間の目で確認する工程を設ける必要があります。

AI任せにするのではなく、地域性や法令順守の視点を組み合わせて初めて安全かつ魅力的なコンテンツを作れます。

寄附者をファン化するCRMとリピーター施策

ふるさと納税では、新規の寄附者を集めるだけでなく、一度寄附した人が継続的に応援してくれるリピーター戦略が重要です。

寄附者をファン化することで、宣伝にかかるコストを抑えながら自然な広がりを得ることができます。

メール・LINE活用でリピート率を高める

寄附者に対して定期的に自治体の近況や新たなプロジェクト情報を配信することで、寄附後のエンゲージメントを維持できます。

メールマガジンやLINE公式アカウントなど、利用者が使いやすいチャネルを選択して、返礼品以外の地域魅力も積極的に発信すると、次回の寄附候補として思い出してもらいやすくなります。

配信する内容は、あくまで寄附者が「地域の成長や活性化を実感できる」情報を重視するよう心がけると、単なる広告に終わらず、良好な関係を築きやすくなります。

セグメント別パーソナライズ送客

寄附者の属性や寄附目的に応じて情報を出し分けると、より高い反応が期待できます。

例えば「地元出身者」「農産物ファン」「文化支援希望」などのセグメントを作り、それぞれに合わせた情報を送るだけでも寄附意欲に差が出ます。
自動化できる仕組みを整えると、運用負荷を抑えながらきめ細かい対応が可能です。

セグメント化の際には、寄附者が過去に選んだ返礼品やアンケート結果を分析し、興味・関心とのマッチングを継続的に行うと、より精度の高いリピート施策につながります。

オフラインイベントとの連動で体験価値を拡張

自治体主催の祭りや収穫体験イベント、観光キャンペーンなどに寄附者を招待し、直接地域に触れてもらう方法も効果的です。

実際に訪れることで地域の魅力を深く体感し、「また支援したい」と思ってもらいやすくなります。
イベント後にSNSで参加レポートが拡散されれば、追加の宣伝効果も期待できます。

さらに、リアルで会った地元の人々との交流が新たな関係性を生み、長期的な応援者を増やすきっかけにもなるでしょう。

広告費5割ルールを守る予算設計

ふるさと納税では、広告費を寄附金の5割以内に抑えるルールが新たに加えられました。
過度な広告投下が行われると、本来の寄附目的から外れているとみなされるためです。

正確な費用算入と予実管理を徹底しましょう。

経費算入対象の整理

広告費として計上されるコストには、以下のような項目が含まれます。

  • 広告代理店へ支払う制作費や運用費
  • ポータルサイトへの掲載手数料やシステム利用料
  • チラシ・パンフレットなど印刷物の作成費

これらを正しく計上しないと、実際には広告費が寄附金の5割を超えているのに気づかず、後から違反が発覚する可能性があります。
定期的に会計データを確認し、早めに対策を打ちましょう。

「どこからどこまでが広告費としてカウントされるのか」は担当部署や委託先との認識相違が起きやすい部分です。
契約書や見積内容を明確にして、経費を漏れなく管理する体制を整えることが大切です。

費用対効果を高める広告チャネル選定

広告宣伝にはさまざまなチャネルがありますが、すべてに手を広げるとコストがかさむうえに5割ルールを超過するリスクが高まります。

ポータルサイト、SNS広告、自治体広報誌など、効果が高いと見込めるチャネルを優先的に選定し、PDCAサイクルを回しながら継続的に見直すことが大切です。

特に予算の大半を占める場合が多いのはネット広告ですが、一方で地方新聞や観光ガイドとの連携が有効なケースもあるため、地域特性やターゲット層の傾向を踏まえた上で適切に振り分けましょう。

KPI想定とシミュレーション例

広告費をどの程度投入すればどれほどの寄附額が期待できるのか、事前のシミュレーションを行うことをおすすめします。

例えば「広告費100万円で寄附額300万円を狙う」「広告費200万円で寄附額500万円を目標とする」といった具体的なKPIを設定し、達成状況を管理することで、5割ルールとのバランスを取りやすくなります。

シミュレーション時には、前年同時期の寄附実績やポータルサイトごとの寄附単価SNS広告のコンバージョン率などを参考にすると、より現実的な数字が出せます。

計画を立てる際は、余裕をもって安全マージンを確保することもポイントです。

制度改正に備えたチェックリスト

2024年以降の改正ではさらに厳格なルール運用が進むと予想されます。
違反によるペナルティリスクを回避するためにも、以下のようなチェックリストを活用しましょう。

広告クリエイティブ最終点検項目

バナーやLP(ランディングページ)を公開する前に、次のような点を点検します。

  • 返礼品の写真や「お得」という表現の扱いはルールに抵触していないか
  • 地場産品である旨や地域のストーリーを十分に説明しているか
  • 誇大広告になっていないか、第三者の視点で確認できる体制があるか

こうした事前チェックを経て、問題点があればすぐに修正してから掲載を始めるようにしましょう。
ガイドラインに沿った訴求であれば、寄附者に不快感を与えず、信頼性の高い地域アピールが実現できます。

寄附募集プロセスのガバナンス強化

広告宣伝だけでなく、寄附者情報の取り扱いや返礼品の発送管理など、一連のプロセスもガバナンス強化が必要です。各担当部署の責任範囲を明確にし、情報共有をスムーズにすることで、違反リスクを最小限に抑えることができます。

また、寄附額の増減だけに注目するのではなく、寄附者からの問い合わせ内容や満足度もあわせてモニタリングすることで、より適切な運用方針を立てられます。

次回改正を想定したロードマップ策定

今回の改正はあくまでも通過点であり、今後も法令やガイドラインが更新される可能性があります。
定期的に情報を収集し、数年先を見据えたロードマップを策定しておくことで、突発的な規制強化にも柔軟に対応できる自治体運営が可能となります。

特に、業務フローや広告素材を大幅に変更する必要がある場合、予算や人員配置に影響するため、事前のシミュレーションと社内調整を怠らないようにしましょう。

まとめ

ふるさと納税の宣伝は「地域をいかにアピールするか」がカギとなりますが、2023年・2024年の改正で禁止事項や広告費の上限が明確化された以上、従来の返礼品重視の訴求はリスクが高まっています。

地域のストーリーや社会的意義を軸にしたプロモーションを意識し、正しい手法で寄附者の共感を得ることこそが、長期的な成果につながる近道です。

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